(2)マルチチャンネル方式の測定

地表に戻ってくる反射波は,発生させた波動に比べて微弱である。また,地下の境界面を連続的に把握する必要がある等の理由により,専用の測定方式が用いられる。

任意の場所に探査測線を設定し,受振器を設置した場合,1発振点で発振された弾性波は,測線上に一定の規則で設置してある多数の受振点で受振される。受振器で感知された反射波などの極微弱な振動デ−タが電圧信号に変換され,ケ−ブルを介して観測車の探鉱器に転送される。そこで電圧信号が増幅,デジタル化された後,探鉱器システムの磁気テープに収録される。同時に記録紙にも出力して,観測者(オペレータ)がデ−タの品質の良否を判断する。この発振・測定作業が終了したならば,振源を一定の距離(通常,受振器間隔の整数倍,または半分)ずらして再度,同様に測定する。これらの作業を測線終点まで繰り返す測定形式が用いられる。

この測定パターンを図3−4−2に模式的に示す。なお,図示したパターンは,同時受振チャンネル数が48チャンネルの場合である。

同図aのようなパタ−ンで測定を行うと,地表面と反射面が共に水平な場合には各反射点の位置が発振点と各受振点の中点になり,各反射点の間隔は受振点間隔の1/2になる。このようなパタ−ンで発振点と受振点群をある一定間隔で移動させながら測定していくと,同図cのように反射点群もそれに伴って移動していく。同図c,dのように,ある反射点(ここでは CDP No.45)に注目すると,測定系の12回の移動によって,CDP No.45では伝播経路の異なる12通りの反射波に関するデ−タが得られる。これら弾性波線を破線の長さ及び伝播経路を考慮して,反射点直上で起振・受振するように補正し,足し合わせて(重合して)1本の波形(反射トレース)を作成することが出来る。この処理で,反射波を強調し同時に不要なノイズを減衰する効果が得られる。

反射トレースは各反射点上に存在するので,これらを並べて表示することで地下の反射面構造が連続的に把握できる。この「ある反射点」を共通反射点と呼ぶことから,この手法を共通反射点重合法(CDP重合法)と呼び,マルチチャンネル方式の測定はデータ処理でのCDP 重合法を効果的に行うためのものである。

図3−4−1 反射法の原理

図3−4−2 マルチチャンネル方法の測定パターン