(4)測定

反射法探査の測定システムは,主に振源,受振器,探査器から構成される。図6−1−2に反射法探査の測定概要図を示すとともに,以下に測定システムおよび測定方法について示す。

a)受振器,ケ−ブルの展開作業

探査測線は,未舗装道路と更地およびアスファルト舗装道路で構成されていた。未舗装道路と更地および舗装道路の路肩部分が裸地の場合,受振器のスパイク部分を直接地面に刺し込んで設置した。また,裸地の無い舗装部分については,受振器を垂直に固定するアルミニウム製スタンド(ピックスタンド)を用いて設置した。設置については,6連の受振器を先に5m間隔で設定した受振点を境に前後3個ずつになるよう,1m間隔で測線に沿って直線的に設置(グルーピング)した。しかし例外として,受振点が交差点にかかる場合や民家の出入り口等でグルーピング設置できない場合,受振点近くに円状に固めて設置(バンチング)する方法を用いた。また,バンチングを用いても受振器を設置できない場合は,やむを得ず受振点無し(デッドチャンネル)とした。表6−1−3にその受振点および設置状態を示す。

表6−1−3 通常設置できない受振点および設置状態

b)振源

振動を発生させる振源装置は,探査対象深度や目的,社会的な制約などによって種々の型式のものが使用されている。今回の測定には,雑信号に対して有効なバイブレータ型振源(図6−1−3)を用いた。

c)パラメータテスト

観測作業に先立ち,次に示す項目についてパラメータテストを行い,詳細な項目の設定を検討・選定した。

・同時測定チャンネル数

144chの同時計測を行い,直接波や屈折波の到達状況や反射波の受振状況を検討して最大144ch計測を選定した。

・発振周波数およびスイープ長

発振周波数の範囲およびスイープ長(発振時間)のテストを行い,観測記録上の反射波の品質を検討して,以下のパラメータを選定した。

低周波テスト 20〜40Hzの範囲

高周波テスト 160〜200Hzの範囲

スイープ長 6〜10秒の範囲

採用結果 20〜160Hzの発振周波数,10秒間スイープ

 

・垂直重合数(スタック数)

1発振点での発振回数を設定するため,1〜10回の範囲でスタックテストを行った。今回の測定ではスタック1回の記録でもターゲットの反射波を捉えることが出来たが,より良い記録を取得するため最大10回のスタック数を選定した。しかし,同時計測チャンネル数(最大同時計測間隔720m)が多く,殆どの場合どこかのチャンネルに極端に大きな車両通行ノイズ信号が混入する状況であった。このことから3回スタックを1セットとして,記録状態に応じて複数セットを取得してデータ処理段階で垂直重合する方式を講じた。

@測定仕様

測線内で測定テストを実施した結果,表6−1−4に示す測定仕様を適用した。

表6−1−4 測定仕様

図6−1−2 反射法地震探査概要図

図6−1−3 バイブレーター型振源

A測定作業

マルチチャンネル式の測定は,地下構造が西上がりの逆断層と想定されていることを踏まえ,西から東へ向かって(測線終点1,000mから)行った。車両ノイズによるデータ品質低下を防ぐために,交差点の要所〃に見張りを立て車両通行の無い時を見計らって発振作業を行うようにした。尚,測線端部では受振器が133chになった時点で固定展開とし,重合数を増やすように測定した。探鉱器はオーヨージオスペース社製のDAS−1を使用した。

現地測定に際し,測線にかかる地区,測線近隣の住民の皆様には事前説明を行っていたので,多くの人々の理解,協力を得ることが出来,比較的順調に測定を行うことが出来た。