4−3−1 白石断層(白石川〜児捨川間)

本調査区間における地表踏査(精査)結果を,付図3の地表踏査(精査)結果図(縮尺1/2,500)にまとめると共に,図4−3−1図4−3−2図4−3−3図4−3−4に示す。

本地域では,中位段丘面(M2)と沖積段丘面(L3)上に撓曲崖及び変位崖の可能性がある段丘面の傾斜及び連続性の良い低崖を確認した。

基盤岩は泥流堆積物等の礫質堆積物や乱堆積構造をなす地層から構成されているため堆積構造が不明であり,変形構造は認められなかった。段丘堆積物については,本地域北端部の舘前付近で,リニアメント近傍に沖積段丘面堆積物層T(L3)の露頭を確認したが,撓みなどの変形は認められなかった。

本地域南端の白石川右岸では,リニアメントに直交する東西方向の逆断層が,低位段丘堆積物層(L1)を変位させる状況を確認した(写真4−3−1)。本断層は,白石断層の派生断層であると推定される。

以上の精査結果を基に,主として地形状況から判断して,トレンチ調査に有効な候補地を三箇所(図4−3−1参照)選定した。選定箇所は南より菅生田(写真4−3−2),鍛冶屋敷(写真4−3−3)及び舘前(写真4−3−4)である。これらの候補地の内,以下の理由により,トレンチの最適地として菅生田地区を選定した(図4−3−2)。

・本地区では三候補地で最も新期の段丘面である沖積段丘面(L3)上に撓曲崖・低断層崖の可能性が高い地形が確認され,白石断層の最新期の活動を把握する上では最も適していると判断した。

・後章の浅層反射法地震探査により,沖積段丘面(L3)上の低断層崖にほぼ連続するとみなされる断層面が確認された。

・本地区については,新屋(1984)により沖積段丘面(L3)に比高約4.5mの変位崖が報告されると共に,同面構成層の14C年代が得られており,同文献による白石断層の活動度検証に有効である。

図4−3−1 地表踏査(精査)結果図(白石断層北端部:全域)

図4−3−2 地表踏査(精査)結果図(白石断層北端部:南部)

(縮尺1/5,000)

図4−3−3 地表踏査(精査)結果図(白石断層北端部:中部)

(縮尺1/5,000)

図4−3−4 地表踏査(精査)結果図(白石断層北端部:北部)

(縮尺1/5,000)

写真4−3−1 白石川右岸の逆断層露頭

写真4−3−2 白石断層トレンチ候補地 ST−3 (菅生田地点)

写真4−3−3 白石断層トレンチ候補地 ST−2 (鍛冶屋敷地点)

写真4−3−4 白石断層トレンチ候補地 ST−1 (舘前地点)