2 調査結果の概要

@白石断層については,地表踏査(精査)と浅層反射法地震探査により断層位置を特定し,断層の活動度検討に有効なボーリング調査,トレンチ調査の候補地点を選定した。今後の調査地点としては白石川左岸の菅生田地区が最適であり,ボーリング調査,トレンチ調査により白石断層の活動性等を評価することが可能と考える(図5−3−2参照)。

A白石断層・越河断層と円田断層との関連については,以下の結果が得られた(図5−1−1図5−1−2参照)。

・既往調査及び既往文献では,白石断層の北端は児捨川以南の地域であるとされたが,本調査では児捨川以北の福岡深谷まで断層の存在を示唆する事象が確認された。

・福岡深谷以北〜松川以南地域では,リニアメントが山地内及び山地・丘陵前縁に判読されるが,いずれの地域でも断層の存在を示唆する事象が得られなかった。

・松川以北の地域では,丘陵及び段丘面の前縁にリニアメントが判読され,北部の小村崎地区ではリニアメント近傍で低位段丘堆積物(L1)中の永野火山灰層下部層が撓み下がる事象が確認され,断層の存在が示唆された。

・松川左岸の矢附付近では中新統の構造がリニアメントに近づくほど傾斜が急になる傾向があり,基盤中の断層の存在が示唆された。

B Aの調査結果から,白石断層の北方延長は少なくとも児捨川以北の福岡深谷まで連続し,松川以北でも南北〜北北東−南南西方向の活断層が分布する可能性があると判断される。

C松川以北における断層の有無及びその活動性の評価は,白石断層と円田断層との活動性を比較し,両者の関連性を検討する上で重要である。本調査では,地表踏査(精査)により松川以北地域の断層評価に有効な地点を検討し,小村崎地区が適地であると判断した。