(2)高舘層(Tka, Tkt, Tkp,Tkr)

本層は調査地に広く分布し,槻木層を不整合関係で覆う。安山岩〜玄武岩質溶岩及び火山礫凝灰岩・凝灰角礫岩・火山角礫岩を主体とし,軽石質凝灰岩,流紋岩質溶岩及び凝灰質シルト岩を伴う(写真4−1−4)。層厚は100m以上である。

安山岩〜玄武岩質溶岩(Tka)は,坪沼川河床及び調査地北東部に分布する。暗灰色を呈し斜長石斑晶が目立つ緻密な岩石を主体とする。露頭では主として板状節理が発達する硬質な岩石であるが,火山礫凝灰岩・凝灰角礫岩や軽石質凝灰岩との境界では,厚さ数mにわたり火山角礫岩状を呈し,やや脆い。

火山礫凝灰岩・凝灰角礫岩・火山礫凝灰岩(Tkt)は,調査地全域に広く分布する。雑多な色調を呈する安山岩角礫を含み,塊状・無層理な岩石である。

軽石質凝灰岩は,坪沼川河床,坪沼川右岸及び大八山牧場の南斜面に分布する。坪沼川河床では,黄灰〜緑灰色を呈する凝灰岩基質中に,径3cm以下の軽石片を40%程度含んでいる。

流紋岩質溶岩は調査地西部に分布する。黄灰〜灰色を呈する塊状・緻密な岩石である。

凝灰質シルト岩は調査地東部の山脚部に小分布する。明灰色を呈し,5cm前後の間隔で砂岩の葉理を伴う。

本層中では,南西部の根添西方で下位の槻木層と共に背斜構造が発達し,リニアメント付近では南東に40°程度で傾斜している。坪沼川では河床に軽石質凝灰岩が分布し,同岩中にはリニアメントにほぼ平行し鏡肌を呈する割れ目が発達する。高舘層は,この露頭付近を境として,上流側では傾斜60°以上の急傾斜帯をなし,下流側ではほぼ水平な構造をなす。坪沼川より北東方の山地では,同層はほぼ水平な構造をなすが,一部,山地と平野の境界付近で角礫化したシルト岩層を伴う火山礫凝灰岩が,70°で南東側に急傾斜している(写真4−1−5)。

写真4−1−4 坪沼川右岸で見られる高舘層の断面

崖には上部から安山岩質溶岩,軽石質凝灰岩及び安山岩〜玄武岩質溶岩(一部,火山礫凝灰岩が挟在)が分布する。

写真4−1−5 南東に70°で傾斜する高舘層中の火山礫凝灰岩

リニアメントの近傍に位置する。上位に角礫化したシルト岩層を伴う。シルト岩中の層理面は傾斜70°で南東側に傾斜する。