1−3 既存調査

既存調査の結果をまとめるため文献調査を実施した。以下に文献調査結果を示す。

文献調査結果

福島盆地西縁断層帯の地形・地質に関して,収集した文献を表1−3−1表1−3−2に示す。

収集した文献は,全29編であり,このうち本調査の対象である白石断層,越河断層について詳細に記載されているのは,松田(1973)(文献番号No.11),今泉(1980)(文献番号No.17),新屋(1984)(No.20),「日本の活断層」(1991)(文献番号No.27)の4文献である。

No.11,17,20,27の文献による白石断層,越河断層の性状(走向,長さ,変位のセンス,平均変位速度)について整理すると表1−4に示すとおりである。

表1−4に示すように,今回対象となる白石断層,越河断層および越河断層群(白石断層と越河断層を合わせた断層)は,それぞれ次のように示されている。

越河断層群(白石断層と越河断層を合わせた断層群)(文献No.17,20);

 走向:NNE,NNE〜NE

 長さ:15〜20km

 断層形態:断層崖

 変位基準:H1,H2,M,M2,L1,L3,扇状地

 断層変位:西上がり,4.5〜100m以上

 平均変位速度:0.3〜1.1(mm/年)

白石断層(文献No.27);走向:NNE

 長さ:2.5km

 断層形態:断層崖,低断層崖

 変位基準:H1,M,L2面

 (最終活動時期は,5,000y.B.Pで,L2面の変位量は5.0m)

 断層変位:西上がり,5〜100m以上

 平均変位速度:0.9(mm/年)

越河断層(文献No.27);走向:NS〜NE

 長さ:15km

 断層形態:断層崖,低断層崖

 変位基準:丘陵高度,扇状地

 (最終活動時期は,14,000y.B.P)

 断層変位:西上がり,7〜250m以上

 平均変位速度:0.5(mm/年)

既存文献資料のうち,地質については,桑折地域の地質(付五万分の一地質図)(1970)(文献番号No.7),東北新幹線地質工事誌(1981)(文献No.18),五万分の一,土地分類基本調査「白石」(1983)(文献番号No.19),宮城県地震地盤図(1985)(文献番号No.24),新生代東北日本弧地質資料集(1986)(文献番号No.26)を編集し,活断層の位置については,1/50万,活構造図「新潟」(1984)(文献番号No.21),「日本の活断層」(1991)(文献番号No.27)の記載に従い,図1−3 既存文献資料編集図を作成した。

同図に示すように,本調査地の地質は,主として新第三系中新統,鮮新統の火山砕屑岩類と第四系更新統の火山性堆積物,完新統の未固結堆積物から構成される。

また,活断層の位置については,図1−3に示すように,各文献によって多少長さや位置がずれているところもあるが,いずれの文献でも白石盆地西縁に示されている。

表1−3−1 収集文献一覧

表1−3−2 収集文献一覧

表1−4 白石断層,越河断層および越河断層群の性状一覧

図1−3 既存文献資料編集図(1/50,000)