4−1 調査方法

本調査は,地層抜き取り装置を用いて地下浅部の沖積層を定方位で連続的に採取し,ボーリングで認められた堆積構造の乱れを面的に直接確認するとともに,用地の制約上ボーリングができないところの沖積層の堆積状況や変形状況を把握し,稠密浅層ボーリング結果とあわせて,長町−利府線の最新のイベントを含む地震性地殻変動履歴を明らかにすることを目的として実施した。

本調査方法の原理は,2つに分割したサンプラー(図4−1−1片方が建設工事で一般的に使用される鋼製の矢板)を2段階に分けて地盤中に打ち込み合体し,それらを同時に引き抜くことにより,その間に挟まれた地層を抜き取る方法である。

作業はバイブロハンマーとラフタークレーンを用いて実施した。抜き取りに用いた鋼矢板は,建設工事で通常使われている長さ6m,幅40cmのものを使用した。巻末に作業に使用した重機・機材類及び作業手順の写真をまとめて示す。

以下に作業手順を示す(図4−1−2)。

@ 地下埋設物の確認行うため,小型のバックホー及び手掘りにより試掘を行う。

A 鋼矢板をバイブロハンマーで鉛直に地盤中に打ち込む。この際,打ち込み時の矢板の向きは,長町−利府線と直交方向とする。

B 鋼矢板に沿って,バイブロハンマーを用いて蓋板を打ち込む。

C 鋼矢板と蓋板を万力で固定しながら,地層抜き取り装置全体を引き抜く。

D 地層抜き取り装置を蓋板を上にして,平坦な場所におろす。

E 蓋板をはずし地層表面を洗浄・整形後,写真撮影,地質観察,14C年代測試料などの採取を行う。

F 一連の作業を終えた抜き取り試料は,矢板から切り離し残土処理を行う.また,地 層を抜き取った穴は,所定の土で速やかに埋め戻し・転圧を行い原形復旧する。

抜き取った地層サンプルについては,連続写真撮影を行うとともに精密な地質観察を行い,縮尺10分の1の柱状図を作成した。また,精密な地層対比及び地層年代測定のため,14C試料などの年代測定用試料が認められた場合は,これらを採取し測定を行った。さらに,堆積構造の乱れた箇所などについては,その部分を不攪乱で採取し詳細観察を行った。