(2)平均上下変位速度の算出

地表踏査(精査)において,大年寺山周辺で青葉山段丘面,台の原段丘面,仙台上町段丘面及び仙台中町段丘面が確認されている。これらの段丘堆積物がNo.1孔,No.2孔でも確認されていることから,その分布標高の差を用いて表3−4−2−1表3−4−2−2に示す長町−利府線の平均上下変位速度を算出した。なお,仙台市街地における上記の各段丘面の標高を基準とした速度の算出も行ったが,ほぼ同じ値を示していた。

これによると,

・青葉山段丘面を変位基準として算出した平均上下変位速度は約0.62m/1000年

・台の原段丘面を変位基準として算出した場合は0.36〜0.47m/1000年

・仙台上町段丘面を変位基準として算出した場合は0.59〜0.71m/1000年

・仙台中町段丘面を変位基準として算出した場合は0.51〜0.80mm/1000年

となる。これらの値はいずれもB級の活動度を示している。なお,仙台中町段丘面で今回の14C測定結果から算出した値(0.80m/1000年)は,従来よりやや大きな速度となっている。

各段丘面の上下変位量を見ると,年代の古い段丘面ほど上下変位量が大きく,変位の累積性が見られる。