(1)ボーリング孔の地質分布

図3−3−2−1図3−3−2−2に各孔の概略柱状図を示す。実際のコア観察は,巻末のボーリング柱状図に示すように,縮尺20分の1で詳細に実施している。

ボーリングに見られる地層は,下位より新第三紀鮮新世の大年寺層,第四紀更新世の段丘堆積物,第四紀完新世の段丘堆積物,沖積層及び盛土である。このうち段丘堆積物は,下位より更新世の青葉山段丘堆積物,台の原段丘堆積物,仙台上町段丘堆積物,仙台中町段丘堆積物及び完新世の仙台下町段丘堆積物に分けられる。以下に,各孔に分布する地層について記述する。

@No.1孔

a.大年寺層(深度54.35〜58.00m)

石英粒子主体の砂岩からなり,不明瞭な葉理が見られる。粒子間を充填する泥質基質は少ない。

b.青葉山段丘堆積物(深度24.20〜54.35m)

風化の進んだ円〜亜円礫を主体とし,所々に硬質な礫を含む。礫間を充填する基質は粘土質である。上部に含まれる礫には,厚さ0.5cm程の風化殻が見られる。34.85〜39.80mに腐植質シルト,火山灰,腐植土からなる堆積物を挟む。腐植質シルト中には火山ガラスを少量含む火山灰を挟む。また,38.80〜39.60mに液状化の痕跡を示すと思われる噴砂状の堆積物が見られる。

c.台の原段丘堆積物(深度20.16〜24.20m)

24.00〜24.20mの細砂より上位を台の原段丘堆積物とした。主として風化礫を含む粘土及び風化した砂礫からなる。本堆積物の上位の21.92〜22.57mに,灰白色の軟質な軽石からなる愛島軽石層が載り,22.42〜22.45mから火山灰分析用の試料を採取した。愛島軽石層の上位には愛島軽石が浸食の後,後背地より供給された堆積物と共に再堆積したと考えられる粘土,シルト混り砂,砂礫を挟む。この粘土は軽石が風化して形成されたものと考えられる。

d.仙台上町段丘堆積物(深度15.32〜20.16m)

基底部に良く締まった砂礫が挟在する。その上位は全体に風化程度の弱い硬質な礫を含む砂礫を主体とし,腐植土,腐植質シルトを挟む。礫間を充填する基質は石英に富む粗粒砂が主体である。砂礫中の15.18〜15.21m及び腐植土中の17.14m〜17.16mから火山灰分析用試料を採取した。また,17.15〜17.25mの腐植土から14C年代測定試料を採取した。

e.仙台中町段丘堆積物(深度10.55〜15.32m)

基底部に安山岩・流紋岩・デイサイトなどの亜角礫よりなる砂礫が挟在する。その上位は細砂,シルト質細砂,火山灰質シルト,火山灰質粘土を主体とする。挟在する火山灰のうち,13.24〜13.26mの区間から火山灰分析用試料を採取した。

f.沖積層(深度0.30〜10.55m)

基底部に安山岩を主体とする砂礫が挟在する。その上位はシルト質細砂,腐植質細砂,砂礫からなり,腐植質シルト・腐植土を挟む。

沖積層中には,下記に示す腐植土,火山灰を挟んでおり,また一部に乱れた堆積構造が見られる。

(a)腐植土

7.85〜8.15m,5.93〜6.25m,2.25〜2.45mに腐植土が挟在する。

(b)火山灰

礫混り細砂のうち9.22〜9.24mの区間と,腐植質シルトのうち3.47〜3.48m及び2.84〜2.92mの区間から,灰白色の火山灰薄層を採取した。

(c)堆積構造

6.20〜6.40m付近に堆積構造の乱れた地層が見られる。

ANo.2孔

a.大年寺層(深度50.61〜54.00m)

石英粒子主体の砂岩からなり,有色鉱物及び雲母を少量含む。不明瞭な葉理が見られる。粒子間を充填する泥質基質は少ない。

b.青葉山段丘堆積物(深度22.47〜50.61m)

砂礫を主体とし,砂,シルトの薄層を挟む。本堆積物最上部の礫には,明瞭な風化殻が形成されている。径の大きな礫には硬質なものが多い。なお,本堆積物下部では,ほとんどの礫があまり風化していない。基質は粘土質な細礫混りの粗砂からなる。

c.台の原段丘堆積物(深度16.35〜22.47m)

砂礫と粘土が互層状をなしている。本堆積物に含まれる礫は,風化が著しく軟質で緑色を帯びるものが多い。本堆積物上位の18.75〜19.65mに,灰白色の軟質な軽石を主体とする愛島軽石層が載る。また,その上には愛島軽石が浸食の後,後背地より供給された堆積物と共に再堆積したと考えられる粘土,シルト混り砂,砂礫が載る。砂礫の基質は細礫混りの粗砂である。

d.仙台上町段丘堆積物(深度11.70〜16.35m)

未風化で硬質な礫を含む砂礫を主体とする。砂礫は全体に良く締まっているが,12.10mより上位は締まりがやや悪くなる。本堆積物上部に円磨された軽石を含むシルトを挟む。

e.仙台中町段丘堆積物(深度8.25〜11.70m)

基底部に流紋岩・安山岩・凝灰岩などよりなる砂礫が挟在する。その上位は粘土,シルト質砂,腐植土を主体とする。なお,後述するように8.85〜 9.00mの腐植土から採取した試料による14C年代測定結果は40,900y.B.Pとなっており,その年代から本堆積物は上町段丘堆積物に含まれる可能性もある。

f.沖積層(深度0.65〜8.25m)

基底部に安山岩・流紋岩・凝灰岩などよりなる砂礫が挟在する。その上位は主として砂及びシルトからなり,腐植質シルト,砂礫を挟む。所々に炭質物を含む。堆積物には縞状の葉理が発達しており,とくに腐植質シルトで顕著である。

本沖積層中にも,以下に示す腐植土,乱れた堆積構造が見られる。

(a)腐植土

2.15〜 2.30mに腐植土が挟在する。

(b)堆積構造

5.00〜5.20m付近に堆積構造の乱れた地層が見られる。