3−1−1 調査地の地形

調査地は,丘陵状をなす大年寺山と宮城野原平野の境界付近に位置しており,調査地の北東側には広瀬川が南東に流下している。調査地には数段の河岸段丘面が発達しており,長町−利府線の変位基準となっている。地形判読結果を図3−1−1に,また調査地に見られる地形面をまとめて表3−1−1に示す。

大年寺山は北東−南西方向に延びる幅約0.5〜0.7km,標高約70m〜110mの丘陵をなしている。大年寺山に分布する段丘は,北東部の青葉山U面及び青葉山V面,南西部の台の原段丘に区分される。

大年寺山南東側の平野部に面する斜面脚部,北東側の広瀬川に面する斜面脚部及び二ツ沢の谷底部に沿っては,幅の狭い数段の段丘が認められ,その分布標高から仙台上町段丘面,仙台中町段丘面及び仙台下町段丘面に区分される。

青葉山段丘面,台の原段丘面は南東方向に撓曲し,著しく高度を減じている。

これらの段丘面は最大傾斜約20゚で南西側の平野部に面しており,斜面脚部に分布する仙台上町段丘面,仙台中町段丘面等との境界は傾斜変換点となっている。この傾斜変換点は北東−南西方向に概ね直線状に連続している。 

南東側の平野部は標高約20m未満の平坦面であるが,わずかな高低差により,自然堤防,旧河道,後背湿地等に細区分される。

大年寺山北西側は広瀬川の小支谷により開析され,この小支谷に面する斜面には幅約400m,長さ約200mの地すべり(野草園地すべり)が見られる。