1−1−4 まとめ

(1)今回調査の主目的

 本調査は、長町−利府断層帯(ここでの長町−利府断層帯(狭義)と坪沼−円田断層を合わせたもの)活断層調査の一環として、地形・地質調査と物理探査を実施し、地震危険度評価等の長期的地震予知並びに地震防災に関する基礎資料を得ることが目的であった。とくに今年度の主目的は、断層の位置、および地震の規模を想定する上での重要情報となる断層の長さを特定することであった。

(2)調査地域

 長町−利府断層帯(狭義)と坪沼−円田断層の位置する宮城郡利府町放森付近から村田町村田付近までの範囲。

(3)断層の位置・長さについて(地形・地質調査の成果)

<断層位置>

表1−2および地形・地質調査編付図3参照

<断層の長さ>

・これまで長町−利府断層帯+坪沼−円田断層帯の長さは約40kmとされていた(表1−1a) )。

・今回の調査結果では、表1−2b) に示すように、長町−利府線(長町−利府断層帯の主要断層の一つ)は長さ21km程度の活断層で、その活動度は、北東の岩切・利府町に向かって低下し、南西の大年寺山・長町付近の2/5程度のようである。

・坪沼−円田断層帯の主要断層である坪沼断層に関しては、崖錐堆積層を切る破砕帯を発見し、平均変位速度を0.2m/千年以上と概算した。

・長町−利府線と坪沼断層および円田断層については、地質構造的に両者が連続しないこと、また長町−利府線と坪沼断層の延長部付近を横断する名取川沿いの段丘面(仙台中町T面:約2.6万年前)に有意な変位が認められないことから、一連の活断層ではない可能性があるがなお検討を要する。

(4)長町−利府断層帯の地下構造(物理探査と地質調査の成果に基づく反射断面解析結果)

・岩切付近では、番ヶ森山層以上の地層は緩く南東に撓曲しているが、それ以下の地層が西傾斜の逆断層で切られている可能性を否定できない。

・新寺小路付近では、旗立層以上の地層が傾斜20゜で南東に撓曲していて、それ以深では西傾斜の逆断層となっているようである。

・富田付近では、旗立層以上の厚い堆積岩層が東に急傾斜した撓曲帯をなしている。