1−1−1 長町−利府断層帯

長町−利府断層帯は長町−利府線、大年寺山断層、鹿落坂断層の3つで構成されている。この断層帯の主要構造要素である長町−利府線は、丘陵・台地と宮城野原平野との境界付近に位置すると考えられてきた。しかし、断層本体が確認されていたわけではなく、断層運動に伴って形成された撓曲のみが観察されていたにすぎない。したがって、以下のような基本的な問題は、未解決のまま残されていた。

@地形境界は断層崖または撓曲崖そのものなのか、それともそれらに沖積層がアバットして、または浸食によって改変されたものなのか。後者の場合には地形境界と断層・撓曲の位置は一致しない。

A長町−利府線は単なる撓曲なのか、それとも顕著な断層を伴った撓曲なのか。基盤の断層変位が被覆層中で撓曲に変化することはよくあることだが、断層はどの深度まで到達しているのか。

B断層を伴った撓曲の場合、断層は沖積層をも切っているのか、沖積平野下に伏在しているのか。

今回の調査によって、これらの問題の解決に大きな前進が見られた。大年寺山断層と鹿落坂断層に関しては、すでによく理解されていたが、今回の調査によって、起震断層としての特徴をほぼ確定できた。