3−4 断層活動区間の検討

断層の活動区間については、断層帯の中で第四紀後期に活動的であると判断される区間を抽出し、活動区間とする。抽出方法は、断層に沿った各地点における地形面の変位からM面形成時代以降の平均変位速度の増減傾向を見て、その両端部の位置を判断する。

V章−3(2)で各地点の平均変位速度一覧に示したように、地形面の変位から読み取った平均変位速度分布については、今回調査の結果を加えても、平成7年度調査結果とほぼ同じ傾向を示し、全体としては田光付近に最大部を持つ山型を呈する(図3−1)。また、活動的な部分の平面的な位置関係については、断層の北部では前縁断層が活動的で、西側の山地との境界にある境界断層は活動的でないのに対し、断層の南部では境界断層がL面形成以降も活動し、前縁断層はない。平均変位速度は最大でも0.4 m/千年で、活動度としてはB級である。これらのことから、断層活動区間については平成7年度調査結果を改訂する必要はなく、活動的な断層の延長としては、34〜37 kmと判断できる(表3−8)。地震調査研究推進本部(2000)の評価結果においては、断層活動区間として、より長い34〜47 kmが採用されているが、これは地形的根拠から約30万年前以前にのみ活動的であったと判断される区間を含むものである。

なお、地震調査研究推進本部(2000)の鈴鹿東縁断層帯の評価においては、予想される地震による最大変位量を3〜5 mとしているが、これは延長を最大47 kmとした場合の計算値である。しかし、現地調査結果から、これまでトレンチで確認された断層活動による変位量はおよそ1 m程度であり、かつL面の変位量は3 m程度であることから、1回の活動による変位量3〜5 mは過大である可能性が高い。

表3−8 断層延長についての調査結果