2−3−3 トレンチ調査結果

トレンチ掘削の結果、本地点では宇賀川地区と同様な地層を確認した。トレンチに見られる地層は以下のとおりである。

a1 盛土1(水田耕作土含む、黄褐色〜褐色系、シルト混じり)

a2 盛土2(灰色系、縞状)

b1 ピートを挟む砂層

b2 礫混じり砂層

g1 砂礫層(砂分優勢)

g2 礫層(φ1m大の巨礫を含む礫層)

To 東海層群(砂岩、礫岩の互層)

トレンチ内では、基盤のTo層をg2層が不整合に覆う。g1層はg2層を整合的に覆うが、その境界は明瞭でなく漸移的な部分がある。b層はg1層を整合的に覆うが、人工改変のため、トレンチ壁面では境界が不連続な箇所がある。b層は堆積構造の明瞭な砂、砂礫層からなり、薄い腐植層などをはさむ。a層は人工的な盛土である。トレンチ壁面スケッチ図・写真を図2−14図2−15に示す。また、各地層から採取した試料の14C年代値の測定結果を表2−3に示す。

表2−3 宇賀川南トレンチ年代試料測定結果

本地点では、平成13年度実施のボーリング、および今回調査における事前のボーリング調査によって、UGB−16〜UGB−14間に西上がりの断層変位が推定された。トレンチ内に見られるg2層は、岩相および試料の年代値から判断すると、宇賀川地区のc2層と対比できる。またb層は岩相および試料の年代値から判断して、宇賀川トレンチのb層に対比できる。近傍で実施した宇賀川地区のトレンチでは、c2層を変位させる断層が確認されているので、断層が本トレンチの内部を通過していれば、地層の変位が観察されることが期待できる。しかし本トレンチ中では、断層および断層による変形構造は認められなかった。東海層群To層の上面の形状は、トレンチ東側で急傾斜となっており、西上がりの断層はトレンチのさらに東方に存在する可能性が示唆される。本調査では、土地条件の制約のため、トレンチの東方への拡大は実施できなかった。

図2−12 航測図化地形断面測量結果−宇賀川南地区

図2−13 地質断面図―宇賀川南地区

図2−14 宇賀川南トレンチスケッチ図

図2−15 宇賀川南トレンチ写真