1−2−2 トレンチ調査の概要

トレンチ調査は、青川上地区、宇賀川地区、宇賀川南地区、田光地区、杉谷地区の5地区、5地点で実施した。各地区においては、平成13年度のボーリング調査、ピット調査によって、断層通過位置に完新世後半の地層が分布することが確認されており、最新活動が記録されている可能性が高いと判断されている。また、年代を特定するための試料も得られる見込みが高いことがわかっている。トレンチの大きさ、深度については平成13年度調査結果に基づいて、断層の構造が観察でき、かつ施工可能な範囲で設定した。トレンチの一覧を表1−5に示す。

表1−5 トレンチの概要

以下、トレンチ調査の方法を述べる。

 トレンチの掘削は以下の手順で行った。

・ 掘削区画の設定

・ 重機による掘削

・ のり面の整形

・ 柵板の設置

・ 1mグリッドの設定(水糸張り)

・ 壁面スケッチ(1:20)

・ 写真撮影

・ 試料採取(年代測定・遺物採取等)

・ 掘削後の平板測量(1:200)、横断測量(1:100)

・ 埋め戻し

・ 復旧の確認

トレンチ場所では掘削前後の形状の平板測量を行った。トレンチ溝はおよそ長さ12m×幅6m×深さ4m程度の規模とした。掘削勾配は1:0.5(63.4°)程度で土質に応じた安定勾配とした。掘削面はねじり鎌等で平滑に仕上げた後、1m間隔の格子状に水糸を張り、スケッチをした。掘削面のスケッチは、層序区分や堆積構造、変形構造等が読みとれるように表現し、1/20詳細図(付図)と、これを縮小した1/50図を作成した。トレンチ壁面は、壁面と全体のカラー写真を撮影し、主な堆積構造や変形構造等の近接写真も撮影した。壁面における炭化物、木片、有機質土壌は位置を記録して採取し、放射性炭素年代測定 (14C)に供した。同様に、土器片などの遺物についても採取した。なお、調査終了後は埋め戻して原形復旧し、地権者立ち会いの上で終了した。