3−1−7 杉谷地区

図3−1−8参照) 

本地区は地形判読による地形境界よりもやや平野側に出た断層(前縁部)の位置に当たる。また、本年度作業で米軍写真(1948)による航測図化を行っている。

本地区は最近(10数年前)、圃場整備が行われており、盛土、または切り土がなされている。地権者からの聞き取りによると、圃場整備前の地形は階段状の水田であったとされており、米軍写真の判読でもほぼ裏付けられている。

本地区の地層は下位からL1段丘相当の段丘礫層(下位:砂礫、上位:フラッドローム*)、黒色土、及び盛土(@、A)である。盛土の形状は先の旧地形を参考に断面を作成した。

ボーリングSGB−1〜SGB−3間ではL1段丘礫層相当のフラッドローム下面に標高差がなく、SGB−3〜SGB−2間では、黒色土の下面もフラッドローム下面も東に低くなる。SGB−3〜SGB−2間の地層の標高差は黒色土0.9m、フラッドローム下面で1.2mとほぼ同等である。また、黒色土の年代は4760〜8220 yBPで、縄文時代(早期〜中期)に相当する。このことから、黒色土の形成以降、約5000年前以降にSGB−3〜SGB−2間の断層で1m前後変位したことが考えられる。これまでの情報ではどの層準まで変形しているかは不明であるが、黒色土まで全体が撓曲変形、あるいはせん断されている可能性もある。断層の活動時期は黒色土の形成時期以降、すなわち約5,000 yBP以降と考えられる。

* (注)旧杉谷川のオーバーフローによる越流堆積物と見られ、均質な黄褐色砂混じりシルトである。