2−2−8 ボーリング調査−杉谷地区(菰野町杉谷)

調査位置を図2−2−5に、断面を図3−1−8に示す。

杉谷地区の地形面はL1段丘面上に位置する。米軍の空中写真および地権者への聞き取りにより、当時は3段の水田であったことが判明しているが、現在は圃場整備により1段の水田となっている。想定される断層を挟んで3本のボーリングSGB−1、SGB−2をピット掘削の前に実施した(SGB−3はピット掘削後に追加した)。

地層は上盤・下盤ともにL1段丘礫層、砂層、フラッドローム(砂混じりシルト)が観察された。下盤のボーリングでは、フラッドロームの上面に黒色土(黒ボク)が観察された。黒色土の下部には暗褐色の漸移層(土壌化層)を伴う。

フラッドロームは、粘性の高いローム質の褐色シルトである。上盤、下盤ともに厚さ3m程度で均質であり、φ5〜15mm程度の花崗閃緑岩の岩片を多く含む。フラッドローム層の下部は花崗閃緑岩質粗〜中砂主体となる。この砂主体の層は、西側の2本のボーリング(SGB−1、SGB−3)でほぼ同じ深度で見られ、連続性が認められる。東側のSGB−2では礫分が少なく、深度が1.2mほど深く現れる。

フラッドローム下位の段丘礫層は、花崗閃緑岩礫およびマサ状花崗閃緑岩からなる。砂分が優勢であり、花崗岩質中〜粗砂を主体とする。礫は比較的硬質で、φ20〜100mmの亜円礫〜角礫である。

L1段丘上面以降の層厚は断層の両側ともほぼ同じである。地層の標高差はフラッドローム下面で1.2m、フラッドローム上面で0.9mで断層変位にほとんど累積性が認められない。これはフラッドローム堆積後の断層変位量と見られる。

地層の年代は以下のとおりで、縄文時代早期である。

・SGB−3、0.90〜0.95m(黒色土):7380±70 yBP