(4)宇賀川南地区(その2)

図3−1−5参照)

既存の宇賀川トレンチの南方で、その1地区との間に位置する。目的は地形的な崖よりも前面に完新世後期の堆積物を切る最近の断層が存在するかどうかを検討するためである。

本地区の地層は下位から東海層群、礫層(g)、沖積層、及び盛土である。西側の東海層群は45〜50°傾斜している。

ピットとUGB−14の結果から、盛土は3層(@〜B)あると見られる。下位の盛土@の上面はピット部分で崖をなしており、米軍写真(1948)に見られる崖地形に相当すると見られる。盛土AとBはごく最近(平成7年以降)の圃場整備に伴う盛土と思われる。沖積層は腐植土を挟む花崗質の砂層でボーリング、ピットのいずれでも確認されている。UGB−13付近の腐植土は630±60 yBP、UGB−14の腐植土は1140±40 yBPとなり、ほぼ同時代と見ることができる。

以上の条件から、ここではピットとUGB−14の間に西上がりの逆断層を推定した。断層を挟んだ標高差は礫層上面も東海層群上面も2.3mであり、変位の累積性が認められない。最近、630±60 yBP以降に変位した可能性がある。ただし、礫層の上面が傾斜しており、沖積層がアバットして堆積したことも考えられる。