(2)宇賀川地区 

図3−1−2参照)

本地区は平成7年度の宇賀川トレンチの北方に位置する。本地区の地層は下位から、東海層群、礫層(g)、沖積層及び盛土である。

ピット西端のUGB−11では東海層群が庇状に礫層の上にも分布していることがわかり、このことから、東海層群が西上がりの逆断層で礫層に乗り上げている可能性が高い。ボーリングUGB−11のコアのうち、東海層群のコアに堆積構造の乱れがあり、下位のブロック状崩落堆積の徴候があることからも、断層の存在が示唆される。礫層を切る逆断層は2100 yBP以降の堆積物に変位を与えていないか、または、断層がもっと前縁(東側)に出る可能性も考えられるが不明である。しかし、少なくともUGB−12のコアに断層が貫く徴候は認められないため、ここではピットの前縁に出る低角断層が存在するかどうかは判断できない。

礫層を切ると見られる逆断層の活動年代は礫層(g)堆積後〜沖積層(a)堆積前と考えられる。礫層の形成年代は、ボーリングUGB−11の深度5.28〜5.70mの、東海層群から崩落したと見られるシルト岩に含まれていた木片の年代が2310±40 yBPであることから約2300 yBPより新しく、かつ、上位の腐植土(年代が2130±40 yBP)に被われることから、約2300〜2100 yBPとなる。以上の断層構造と年代の想定が正しければ、礫層は完新世後期の堆積物(縄文時代晩期〜弥生時代)と見なされるが断定は出来ない。本地区の断層の活動時期は、UGB−12の深度1.18m及び1.43mの腐植土層が変位していないとすれば、約2300〜1100 yBP頃と推定される。

断層の両側の地層の標高差は東海層群上面が5.0mである(UGB−6〜12間)。この標高差が断層変位と考えられる。その上位の地層は上盤側に対比される地層がないため、不明である。

なお、本地区の沖積層(a)の年代は概ね1,000 yBPであることが確実であるが、ピット、ボーリングとも840〜1,440 yBPとばらつきが多く、ピット内でも層序が逆転することがある。このような年代値のばらつきは既存の宇賀川トレンチでも認められた。その原因として、堆積時により古い時代の有機物が混入したことが考えられる。

*(注)“礫層”:宇賀川北岸周辺で東海層群の上位にあり沖積層に覆われる時代未詳の礫層を便宜的に単に“礫層”(g)とした。付近の地形面は沖積面であるが、この礫層はL2段丘より新しく地表付近の沖積層より古いとみられる。詳細はV総合解析−1調査結果の考察−A、Gで検討する。次項の(3)、(4)も同じ。