(1)青川上地区

図3−1−1参照)

本地区は東上がりの逆向き断層崖が推定される場所である。

地層は下位から、東海層群、茶褐色砂礫層、灰色礫層、ピート、及び盛土である。14C年代値を参考にすれば、砂礫層が10,000〜13,000 yBPであり、ピート層が1,500〜1,900 yBPである。したがって、中間に挟まれる灰色礫層は完新世の堆積物であり、ピートは完新世後期(紀元頃)の堆積物と考えられる。

地層の分布標高は、東側の地層が西側より高く、東上がりの断層の存在が示唆される。地層の標高差は東海層群上面で0.9m、砂礫層上面で0.4m、灰色礫層上面(または盛土の下面)で0.4mである。写真判読ではL1段丘面を開析する小規模な谷地形(沖積面)がみられ、断層の低下側に湿地が形成された可能性がある。

ただし、砂礫層の上面はわずかに西傾斜であるが断層変位を受けているかどうかは不明で、灰色礫層上面が侵食面である可能性も否定できない。付近の河川の流れは東向きであるのに対し砂礫層は西側で厚いことから、堆積の場をつくる崖が東側(AUB−8~7間)にあったことが示唆される。これが断層変位の可能性がある。断層変位があるとすれば砂礫層の堆積途中の可能性が高く、灰色礫層堆積後の活動の有無については標高差が少なくやや疑問がある。