(5)ピット調査−田光ピット

調査位置を図2−2−4に、スケッチ図・写真を図2−3−4−1図2−3−4−2に示す。

ピット位置は田光集落の南、写真判読による断層推定位置のほぼ下盤側に相当する。また、この場所は断層崖を横切る小規模流路の出口に位置する(テラス状の水田の中央付近)。

ピットで見られる地層・地質構造は以下のとおりである。

a 現在の水田耕作土

b 盛土(黄褐色、花崗岩礫を含む、層厚1.2m)

c 古期腐植土−c1:上部腐植土(暗褐色、旧期耕作土か、炭化した草根を多く含む、層厚60cm)

c2:砂礫(腐植物混じりの粗砂、ラミナの発達したチャネル堆積物)

c3:下部腐植土(砂質)

d 腐植質細・中砂(腐植土のレンズを含むラミナあり)

 (これ以下は巨礫に当たる:内容未詳)

盛土は北に傾斜しており、北に向かって盛り立てたと見られる。ピット下半部の地層はほぼ水平である。c2はW面で大礫を含む礫層であるが、その他の面はラミナの発達した砂層である。同層はW面、E面で凹凸の多い堆積形状であることから東へ流れた水流によるチャネル堆積物と考えられる。掘削場所は、元々、中位段丘を開析した小規模な谷地形で、谷底に砂や腐植土が堆積していたところを水田に利用していた可能性がある。テラス状の地形は既に1948年の米軍写真で認められ、それ以前の改変地形(盛土)と見られる。