(3)ピット調査−宇賀川ピット

調査位置を図2−2−2に、スケッチ図・写真を図2−3−2−1図2−3−2−2に示す。

ピットの掘削は平成7年度調査の「宇賀川トレンチ」の北方、約15mの地点である。ピットの場所は既存トレンチから類推して、断層の延長上、または下盤側に相当すると見られる。

ピットの地層は、上位から以下のとおりである。

a 盛土(木材、瓦礫などの廃材を多数含む、旧耕作土もある)

b 粗砂〜有機質シルト(ピート)互層(ピートには未分解の植物片が多い、沖積層相当)

c 砂礫(花崗閃緑岩、または古期堆積岩の小礫を含む、ピット下部のみ)

c層はE面底部やS面底部にのみ見られる。各々の地層境界は多少の起伏があるものの概ね水平で、ピット内には断層構造は認められない。ピットの南西側が若干低くなる傾向があるが、傾動かどうかは不明である。N面では互層を斜めに貫く樹根が見られた。

地層の14C年代は、ピット下部の腐植土が970±80、1090±70 yBPと約1000 yBPの年代を示す。しかし、これとほぼ同一層準の砂層が840±60 yBP、上位の砂層(ピット中間部)が1400±70 yBPと最も古い年代を示すなど、ばらつきが大きい。年代試料は生木、樹根を含み、炭化が進んでいない。 

上記の粗砂〜シルト互層は平成7年度の宇賀川トレンチでも確認されており、年代が1000 yBP前後でばらつく点も同様であった。ピットで見られる互層は、既存の宇賀川トレンチの「D層(河川堆積物)」に相当すると見られる。今回のピットではトレンチの「C層(青灰色の軟弱粘土)」は認められなかった。