(2)写真判読結果

判読結果を図2−1−1図2−1−2図2−1−3図2−1−4の地形区分図に示す。

なお、使用した基図は米軍写真による1:2,500航測図を縮小した1:5,000相当の図面である。航測図は杉谷地区のみ、今年度に作成、その他は平成7年度作成である。以下、各地区の判読結果を述べる。

(1) 青川上地区

当地区の東側山麓には主断層(治田断層または麓村断層)と見られる断層崖が連続し、M2面を変位させている。北部の山地にはH1面が分布し、撓曲している。山地部には西落ちの階段状の変位地形が2条あり、東の主断層に対して逆向き低断層崖(石榑北山断層群)を形成している。その南方延長部のM2面及びL1面には地形面の緩い褶曲があり、M2面には撓曲が認められる。L1面の低断層崖付近には、L1面をわずかに侵食した沖積面がある。本調査では、このL1面上の低断層崖を挟んでボーリング、ピット掘削を行った。

(2) 宇賀川地区周辺

本地区にはM2面・L1面が分布し、これらを切る西上がりの低断層崖(宇賀断層に相当)が明瞭である。低断層崖は宇賀川を越えて南方へ続き、図の南部ではM2U面を撓曲させている。宇賀川周辺の地形面は本地区の中で最も低位のL2面よりもさらに低く、現河床に近いため沖積面と考えられる。ただし、現河床よりも若干高く、わずかながら段丘化している。この沖積面には旧河道と見られる侵食微地形が認められる(M2面の南側)。沖積面にはいくつかの崖地形が見られるが、断層変位地形は不明瞭である。変位地形の判読に際してはM2面上の断層崖の連続性や、平成7年度の宇賀トレンチの成果を参考にして、最近の圃場整備前の低崖を断層崖として判読した。

(3) 田光地区

本地区にはL1面、L2面が分布する。ここでは4条の西上がりの低断層崖、撓曲崖(田光断層に相当)が見られる。このうち、最も東側の断層崖は北から南まで連続する。L1面上の変位地形は比較的明瞭で、L2面上ではやや不明瞭で途切れがちである。今年度は最も東の前縁断層上でボーリングとピット掘削を行った。

(4) 杉谷地区

本地区は田光地区の南西側隣接区域で、田光断層が通る。低地部にはL1面が分布し、北西側の山地(M1,M2面が分布)との境界付近に明瞭な西上がりの低断層崖が認められる。この断層崖は地形境界よりも若干平野側(南東側)に位置し、L1面を切っている。断層が沖積面を横切る部分では変位地形が不明瞭である。今年度は本地区中央部の断層線上でボーリングとピット調査を実施し、L1段丘礫層を切る断層構造を確認した。