1−1−2 調査目的

鈴鹿東縁断層帯は、本県北部に位置する断層長40qの主要起震断層と位置づけられている(松田、1990)。同断層帯は、本県の人口が最も集中する北勢地域にあり、本県の防災対策上きわめて重要度が高い断層帯であることから、本県は平成7年度に地震調査研究交付金を受けて調査を実施した(三重県、1996)。

地震調査委員会(2000)は、三重県(1996)の調査結果をはじめ、これまでに行われた調査研究成果に基づいて、鈴鹿東縁断層帯の諸性質を評価した。その中で、同断層帯の最新活動時期は、2万年前以降であるが、これまでの調査研究成果からそれ以上特定することは困難であり、それ以前の活動についても不明であるとしている。さらに、今後一定期間の地震発生確率(将来の地震発生の可能性)については、最新活動時期を十分特定できていないため判断できないとしている。

本調査の主目的は、「鈴鹿東縁断層帯の評価」(地震調査研究推進本部地震調査委員会、2000)の断層帯の諸性質に関する評価内容において、今後明らかにすべき課題として与えられている内容を考慮し、同断層帯の活動履歴に関する精度の良い情報を蓄積することにより、長期的な地震発生の可能性及び断層活動時の地域特性についての評価を行い、本県の地域防災に資することである。

今年度は、鈴鹿東縁断層帯の最新活動時期、すなわち、これまでの調査研究成果からは特定が困難であるとされている2万年前以降の活動のうち、三重県(1996)が最新活動時期としての可能性を指摘した約千年前の活動の解明、及び同断層帯の完新世の詳細な活動履歴を解明するための調査の可能性について判断を行うための調査を行う。

今年度の調査の具体的な目標は以下の3つである。

@ 下盤側で完新世後期の新しい地層の存在を確認すること

A ボーリングによって断層の概略の位置と変位量の大きさを確認すること

B 今後実施する予定のトレンチの位置と深度を確定すること

以上の調査から得られた成果及び既存の調査研究成果を総合して、鈴鹿東縁断層帯の最新活動時期等について考察を行うとともに、同断層帯の活動履歴を把握するために平成14年度に実施する予定のトレンチ調査候補地を選定し、調査の可能性の検討及び評価を行う。