(1)トレンチの地層構成

トレンチT3.2の壁面写真とスケッチを図2−3−4−1図2−3−4−2に示す。

トレンチに現れた地層は、上位に土壌層(A層)が分布するが、下位の地層はトレンチの西側と東側では大きく異なる。すなわち、西側では巨礫層(C層)であるが、東側では砂礫層及び砂層、一部シルト層との互層である(B層)。概要を以下に示す。

・土壌層(A層)−−−A1(耕作土)

A2(黒色土:黒ボク)

A3(暗褐色土:土壌化層)

・細粒砂礫層(B層)−B(砂・砂礫の互層)

              B1(砂質シルト:フラッドローム)

              B2〜B5’(砂層、間に砂礫を挟む) 

・巨礫層(C層)−−−C(花崗閃緑岩の巨礫を多数含む)

C−S(砂優勢の砂礫層の挟み)

A3は礫混じりの暗褐色土で、礫層(B、C)の上部が土壌化したものと思われる。巨礫層(C層)は本トレンチの西側に隣接するT3.1のC層と同様に、花崗閃緑岩質の最大径90cmの巨礫や緑色片岩を含み、全体に礫が卓越する。同層には中間に砂層(C−S)が挟まれる。B層は3〜4層の細砂〜中砂と、これらと互層する砂礫からなる。この互層部分はN面で明瞭だが、S面ではB2以下がやや不明瞭である。砂層にはシルト質の部分(B1、B5´)があり、このうち上位のB1は黄褐色の砂質シルトである。B1は段丘礫層の堆積末期のフラッドロ−ムと見られる。N面ではさらに上位に砂礫層(Sg−U1)がのる。一方、S面ではB1とほぼ同一層準に砂礫層Sg−U2がC層を不整合に被い、上位にSg−U1を載せる。

地層の14C年代はA3が9,800±110 yBP、B1が11,220±40 yBP、B4が9,300±40 yBPとなっている。B1とB4の年代は逆転しているが、B4の試料は上位から侵入した樹根の可能性がある。また、B5’の年代値は940±40 yBPと最も若いが、これも上から侵入した樹根の可能性が高い。