2−2−2 ボーリング調査−B1地区(松阪市小阿坂町:鳥戸断層)

調査位置を図2−2−1に、断面を図2−2−6に示す。本地区では、当初のボーリング調査仕様(B1−1、B1−2、B1−3)にB1−4の1本を追加して、合計4本のボーリングを実施した。その結果、西側の3本で花崗閃緑岩の基盤を、東側の1本で基盤の東海層群を確認した。東側から2番目のB1−4では、黒色または灰色にカタクラサイト化した破砕質花崗閃緑岩と、その下位に乱れた段丘礫層がある。花崗閃緑岩が段丘礫層の上位にあることから、これが鳥戸断層で、ボーリングによって断層攪乱部を貫いたものと判断した。断層面の深度は8.47m、傾斜は約45°である。

この地区の地形面はLf面であり、地表部分は圃場整備により多少改変されている。Lf相当層の層厚は上盤側で1.9〜2.65mと薄く、下盤側で5.35mと厚くなっている。また、下盤側のLf堆積物の下位にはM相当と考えられる礫層および東海層群の礫層がある。この東海層群は下盤側の深部にのみ確認されている。上盤側のB1−4の断層面以深の礫層は攪乱されており、ほぼ全体が破砕帯と考えられるが、その起源は不明である。

以上のボーリング調査から、上盤側ではM面堆積物は大半が侵食されてなくなったか、または下盤側にのみ堆積した可能性が考えられる。断層活動は、Lfを変位させていることからLfの堆積時まで続いていたと言える。

なお、ボーリングB1−3のコアから古土壌の年代測定と火山灰の分析を行った。その結果、年代値の逆転が見られ、断層変位の可能性が示唆される。結果の詳細と考察はV 総合解析で述べる。