(7)段丘堆積物・扇状地堆積物

調査地は、第四紀堆積物の層相やその分布域の地形から、以下の3地域に区分した。

・雲出川・中村川流域:雲出川及び中村川水系の河川性堆積物を主体とする

・松阪市郊外山麓部 :小河川による扇状地性堆積物を主体とする

・櫛田川流域    :櫛田川水系の河川性堆積物を主体とする

以下、堆積物の特徴を地域別に記述する。

(1) 雲出川・中村川流域

@ 高位1段丘堆積物(柱状図:CK−1,2,3,CB−1,2)

・分布:嬉野町島田では標高50〜60m程度の丘陵頂部に分布し、嬉野町島田〜天花寺にかけては極めて平坦な広い段丘面を形成している。

・層厚:中村川沿いでは8〜10m程度、小山では3〜5m程度である。

・層相:嬉野町天花寺の道路切土法面では、上部は赤褐色砂質土層(層厚2m)、下部は礫層(層厚6〜8m)よりなる。礫層は、径5〜30p程度の花崗岩亜円礫及び径5〜10p程度のチャート亜円礫を含む。花崗岩礫は50%以上がクサリ礫となっている。基質は黄褐色粗粒砂よりなる。円礫のインブリケート構造は不明瞭であるが、流向は概ね北東方向と推定される。

A 高位2段丘堆積物(柱状図:CB−3)

・分布:嬉野町島田の段丘面を形成している。分布高度は高位1段丘面より10m程度低い。

・層厚:10m以下。

・層相:上部は明褐色〜赤褐色砂質土層(層厚:1m程度)、下部は砂礫層(6〜9m程度)よりなる。礫層には径5〜20p程度の花崗岩及び一志層群砂岩の亜円礫〜亜角礫が含まれる。花崗岩礫のうち50%以上はクサリ礫である。基質は黄褐色中粒砂である。

B 中位段丘堆積物(柱状図:CN−1,2,CK−4,5)

・分布:雲出川沿いでは一志町田尻に分布する。中村川左岸では嬉野町島田の東方にやや広く分布する。中村川右岸の嬉野町権現前西方では広い段丘面を形成している。

・層厚:3〜7m。

・層相:一志町小山では砂礫層よりなり、径5〜20pの花崗岩礫、径1〜10pのチャート礫を含む。花崗岩礫は50%程度がクサリ礫となっている。基質は黄褐色粗粒砂よりなる。中村川沿いでは上部は粘土層、下部は砂礫層からなる。粘土層は層厚1.4m〜2.0mで灰色〜淡褐色を示す。礫は径2〜10cmの花崗岩、片麻岩、シルト岩などから成る円礫〜亜円礫を主体とし、40〜60%がクサリ礫である。基質は褐灰色シルト質砂である。本層は木村(1971)の高茶屋面、久居面相当の構成層である。

C 低位1段丘堆積物・低位2段丘堆積物

・分布:雲出川及び中村川沿いに分布する。

・層厚:数m以下と推定される。

・層相:堆積物は砂、シルトよりなる。

D 低位扇状地堆積物

・分布:嬉野町島田の北側の谷沿い(駒返川)に分布する。

・層厚:約2m。

・層相:径20〜30pの新鮮な円礫よりなる。

 

(2) 松阪市郊外山麓部

@ 高位1段丘堆積物( 柱状図:CM−1,2,6)

・分布:松阪市伊勢寺町平林池周辺、同市笹川町周辺の丘陵を形成する。

・層厚:15〜20m程度。

・層相:クサリ礫の多い砂礫を主体とし、上部に層厚30cm〜1mの赤色土壌を伴う。礫は領家花崗岩類の径10〜50cmの亜円〜亜角礫であり、基質は黄褐色〜橙褐色の砂である。風化が進み、クサリ礫の比率は60%程度である。礫層中に厚さ50cm〜1.5m程度の黄褐色〜橙褐色の砂層および粘土層をしばしば挟む。松阪市伊勢寺町五輪峠付近では、下位に径1mの花崗岩類の巨礫を伴う礫層(100%クサリ礫)があり、高位1面を構成する礫層より更に古い時代の堆積物(最高位段丘相当か)の可能性があるが、対比が困難である( 柱状図:CM−6)。

A 高位2段丘堆積物(柱状図:CM−3,7,9,10)

・分布:主に松阪市南東の丘陵地に点在する。

・層厚:9〜15m。

・層相:砂礫を主体とし、クサリ礫を30〜70%程度含む。礫は領家花崗岩類の径5〜25cm亜角礫を主体とし、基質は黄褐〜赤褐色の細粒砂〜シルトからなる。上部は粘土質となり、赤色土壌(層厚2〜4m)に移化する。

B 中位扇状地堆積物(柱状図:CM−5)

・分布:松阪市小阿坂町の阿射加神社付近から南方の阪内川左岸にかけて、山麓部に開析扇状地面を形成して分布する。

・層厚:5〜10m。

・層相:領家花崗岩類の径5〜30cmの亜角〜亜円礫を含み、クサリ礫を30〜50%程度含む。基質は淡褐色礫混じりシルトである。礫混じり砂層の上位に淡褐色の粘土層を僅かに伴う。

C 低位扇状地堆積物(柱状図:CM−4)

・分布:松阪市周辺の山麓東側に広い扇状地面を形成して分布する。

・層厚:1〜6m。

・層相:砂礫を主体とし、厚さ50cm程度の砂層を挟む。径5〜20cmの領家花崗岩類及び片麻岩からなる亜円礫を主体とし、クサリ礫を含まない。上部に黒褐色の礫混じり腐植土層を伴う。

(3)櫛田川流域

@ 高位1段丘堆積物

・分布:松阪市小片野町上出、および勢和村片野西方に部分的に分布する。

・層厚:30〜40m。

・層相:クサリ礫を50%前後含む砂礫を主体とし、上部に厚さ4〜5mの赤色土壌を伴う。

A 高位2段丘堆積物(柱状図:CK−2,3)

・分布:櫛田川流域の随所に広く分布する。

・層厚:20〜30m。

・層相:領家花崗岩類の径1〜20cmの亜円〜亜角礫の新鮮礫を主体とする砂礫層からなる。クサリ礫は10〜15%程度であるが、100%近い部分もある。基質は黄褐色〜橙褐色の砂質シルトである。砂礫層中には厚さ5〜60cm程度のシルト層および砂層を頻繁に挟む。上部には厚さ4〜5mの赤色土壌を伴う。

B 中位段丘堆積物

・分布:勢和村波多瀬付近や同村下出江〜丹生にかけての櫛田川両岸に地形面を構成する堆積物を中位段丘堆積物としたが、堆積物そのものを露頭で確認することはできなかった。

・層厚:不明(推定数m)。

・層相:不明。

C 低位1段丘堆積物

・分布:松阪市小片野町付近、および勢和村丹生付近の櫛田川両岸に平坦面を形成する堆積物を低位1段丘堆積物としたが、堆積物そのものを露頭で確認することはできなかった。踏査範囲のこれより下流では低位1段丘面相当の地形面は認められない。

・層厚:不明(推定数m)。

・層相:不明。

D 低位2段丘堆積物(柱状図:CK−1)

・分布:櫛田川流域両岸に低位2段丘面を構成する。

・層厚:推定2.5m以上。

・層相:地表より1.5mまで褐〜灰褐色の砂混じりシルトで、フラッドロームに相当する。下部に層厚15cm程度のの礫層を挟み、さらに下位はシルト混じり砂層である。

E 低位3段丘堆積物

・分布:櫛田川流域両岸、および朝柄川両岸に低位3段丘面を構成する。

・層厚:5m程度。

・層相:径30〜40cmの円礫を含む砂礫からなる。