(6)東海層群

東海層群は小山累層及び亀山累層から成る。小山累層は、中村川以北では一志町〜嬉野町にかけてNW−SE方向に分布する。北限は一志町小山の「みのり苑」造成地で確認された東西方向の逆断層により境される。中村川以南では松阪市伊勢寺町および同市岡山町周辺に小規模に分布する。下位の一志層群を不整合に覆うが、松阪市岡山町周辺では西縁を一志断層系によって境されている。主に礫岩から成り、岩相上の特徴から布引山地前縁に形成された扇状地堆積物と考えられる(吉田ほか、1995)。一方、亀山累層は調査地北部において小山累層に整合に重なり、北東方向に広く分布する。

(1)小山累層(To)

・模式地:一志町小山(吉田ほか、1995)。

・分布:中村川以北では、一志町〜嬉野町にかけてNW−SE方向に分布する。中村川以南では、松阪市伊勢寺町及び同市岡山町周辺に小規模に分布する。

・層序関係:中村川以北では、一志層群三ヶ野凝灰質シルト岩砂岩層を不整合に覆い、上位に亀山累層が整合に重なる。中村川以南では、松阪市岡山町北方で下位の一志層群井生泥岩層を不整合に覆う。伊勢寺町の県道瑞巌寺庭園線周辺〜岡山町北方にかけて、西縁は領家帯基盤岩や一志層群と一志断層系で接している。

・層厚:100〜120m。

・構造:一志町〜嬉野町ではNW−SE走向で、北東方向へ20〜50°余り傾斜する。松阪市伊勢寺町の県道瑞巌寺庭園線周辺ではほぼ水平だが、一志町小山の一志断層付近では急傾斜する。一志町小山の「みのり苑」造成地の東西方向の断層の近傍では直立し、一部逆転している。

・岩相:主に礫岩から成る。一部に砂層・シルト層を挟む。礫径は5p程度が多いが、20p程度のものも含む。礫種はチャート礫を主体とする。基質は黄白色〜褐色の中〜粗粒砂より成る。松阪市伊勢寺町の県道瑞巌寺庭園線周辺では径2cm程度の小礫を主体とする礫岩に、やや軟質な細粒砂岩およびシルト岩の薄層を挟む。礫種にチャートや一志層群の堆積岩を含む特徴的な岩相を示す。同市岡山町北方では、礫率50%程度の礫岩から成り、径2〜15cm程度のチャート、花崗岩類の円礫を主体とする。断層近傍では、本層の礫岩が破砕されて、基質部が粘土化している。

(2)亀山累層(Tk)

・模式地:亀山市付近(赤嶺ほか、1951)。

・分布:調査地では、中村川以北の一志町小山から嬉野町天花寺にかけて分布する。天花寺付近では、高位段丘堆積物に覆われる。

・層序関係:下位の小山累層の上位に整合漸移する。

・層厚:堆積域が順次北へ移動しており、積算層厚は1,500m以上に達する。調査地には亀山累層の下部が分布する。

・構造:およそNW−SE走向で、北東へ10°〜20°傾斜する。

・岩相:主として厚さ数10p〜数mの砂岩層、泥岩層の互層から成る。砂岩層は比較的淘汰の良い細〜中粒粗砂岩から成り、弱い平行葉理が発達する。泥岩層は塊状無層理で風化によりブロック状〜細片状に割れやすい。一部に砂礫層を伴う。