(2)新第三系の区分

調査地に分布する新第三系は、中新統の一志層群と鮮新統の東海層群に区分される。一志層群は松阪市笹川町の阪内川河床を分布の南限として、主に一志断層系東側に北東側へ開いた堆積盆地を形成するが、中村川付近以北の広い範囲と、堀坂川流域では、一志断層系西側に入り込んで堆積盆地を形成している。一方、東海層群は松阪市伊勢寺町の堀坂川付近を南限として一志断層系東側に分布し、北東へ開いた堆積盆地を形成する。全体に、堀坂川以北では、一志断層系東側に一志層群とこれを不整合に覆う東海層群が比較的厚く分布することが想定されるが、堀坂川から阪内川にかけては、一志層群は薄く、下位の領家花崗岩類を起伏に富んだ不整合で覆っている。新第三系は全体に南北方向の走向を持ち、緩やかに東へ傾斜することが多いが、一志断層系の近傍ではしばしば東へ急傾斜する。

表2−6に新第三系の層序区分と平成9年度調査結果及び主要文献との対比を示し、以下、本報告における地質区分について述べる。

一志層群の区分は、調査地内の地層の相互の関連を明確にするため、基本的に柴田(1967)を踏襲した。柴田(1967)は、一志層群を、その層相及び産出化石から3回の堆積サイクルが認められる海成堆積物であるとし、下位より波瀬・大井・片田の3累層に区分した。また、領家帯基盤岩類の周囲に分布する礫岩であっても、一部は最下位の波瀬累層矢下礫岩層よりも層序的に上位のものが分布することから、波瀬・大井累層と同時異相関係にある家城累層を設定した。調査地には、波瀬累層の中・上部層、大井累層の上部層、及び波瀬累層と同時異相関係にある家城累層が分布する。柴田(1967)は、家城累層を“東青山相”と“落合相”に区分しているが、調査地では落合相の分布がごく限られているため、本報告では家城累層として両相を一括した。

調査地の鮮新統は、既存文献では「奄芸層群」と呼ばれていることが多い(例えばAraki(1960)や恒石(1970))が、平成9年度の調査では、近年出版された地質図幅「津西部」及び「津東部」(地質調査所)が東海層群の名称を用いていることを理由に東海層群に統一しており、本報告でも東海層群とした。調査地では東海層群の亀山累層および小山累層が分布している。本調査地では下位の小山累層がほぼ全域に認められるのに対し、上位の亀山累層は中村川以北にのみ分布している。

表2−6 新第三系層序対比表