(2)「布引山地東縁断層帯(南部)」の活動性評価

各断層の確実度及び活動度は地形・地質調査から表1−9のようになる。各地点の平均鉛直変位速度は、多くは0.1(m/千年)以下であるが、一部これを上回る。すなわち、H1面形成以降の本断層帯の活動度は全体としてB〜C級と推定される。

このうち小山断層は地形的にも確実度が低く、活動度も低い。また変位が確認されたのは高位面のみである。なお小山断層周辺の先第四系の分布や構造については不明点が多い。六呂木断層は低位面の変位が明瞭であるが、断層露頭は見られず、活動度が低い。一方、鳥戸・山口・片野の各断層は、各段丘面を切る断層崖や撓曲崖が明瞭で断層露頭が確認されており、活動度も比較的高い。 

また各断層は全体としては走向が同じ傾向にあり、相互に連続しているように見えるが、各断層において断層変位地形が連続して確認された部分は延長距離が短い。そのため断層相互の連続性と断層の区分については必ずしも確定できない箇所もあり、特に小山断層と鳥戸断層、および山口断層と六呂木断層の連続性は不明確である。したがってこれらがすべて一続きの起震断層を形成しているかどうかはさらに検討の余地がある。

表1−9 各断層の確実度・活動度