1−2−4 地形断面測量の概要

断層帯全体の活動度の傾向を把握するために、各断層の走向方向に沿う20地点で地形断面測量を行い、地形面の鉛直変位量を計測して平均鉛直変位速度を算出した。計測は地形判読に使用したものと同じ1961年、1963年の航空写真を用い、空中写真測量により断面図を作成し、変位量を図上計測した。地形断面の位置を図2−12示す。

本地域の地形面の形成年代については、地表踏査によっても直接年代を知りうる資料は得られなかった。したがってここでは八木・寒川(1980)、太田・寒川(1984)などの既存資料を参考に次のように各地形面の年代を設定し、平均鉛直変位速度を算出した。

・ H1面=15万年前

・ H2面=12万年前

・ M面/Mf面=5−8万年前

・ L1面=2.5万年前

・ L2面=2万年前

・ L3面=1.5万年前

・ Lf面=2−3万年前

表1−8に測量結果を示す。各地点の平均鉛直変位速度は、多くは0.1(m/千年)以下であるが、一部これを越える。すなわちH1面以降の本断層帯の活動度は全体としてB〜C級である。

図1−5は横軸に中央構造線からの距離を、縦軸に平均鉛直変位速度をプロットしたものである。この図から、平均鉛直変位速度の分布傾向は小山断層近傍では比較的小さいが、鳥戸断層以南では0.1(m/千年)程度で推移し、片野断層の最南端部でやや小さくなることがわかる。

表1−8 地形面の鉛直変位量と平均鉛直変位速度

図1−5 地形面の平均鉛直変位速度分布図