1−1−2 調査目的

布引山地東縁断層帯は、三重県の県庁所在地であり災害対策機能の集中する津市域に存在する唯一の断層帯であり、本県の地域防災を考えていくうえでも特に重要度の高い活断層帯であることから、平成9〜10年度にかけて科学技術庁の「地震関係基礎調査交付金」を受けて調査を実施してきた。その結果、当該断層帯はさらに南方延長部にある断層も含めて起震断層として活動する可能性が示唆された。

このような断層帯が活動して地震を発生させれば、県庁所在地である津市を中心として、北は鈴鹿市、亀山市から南は松阪市に至る広大な範囲で甚大な被害が発生する可能性がある。また松阪市周辺は、本県の北・中部地域と伊勢志摩、紀州地域を結ぶ交通の要衝となっており、被害状況によっては本県が北部と南部と西部に分断されてしまう可能性がある。したがって従来の布引山地東縁断層帯に加えてその南方延長部を調査し、地震発生の規模や長期的な予測を行うことは重要な課題である。

そこで、本調査では既往調査の成果を踏まえ、布引山地東縁断層帯の南方延長に存在する活断層についての追加調査を実施してこれらの断層の総合的な評価を行い、地震防災上の基礎データを得ることによって、本県の地域防災に資するとともに、地震に関する基礎調査研究の推進を図ることを目的とする。