(1)トレンチの地層構成

トレンチTM1は主断層FM1の断層崖で掘削した。

トレンチで見られた地層は、下位より段丘礫層(G1)、礫層(G2)及びこれに付随する砂層(Sd)、砂礫(Sg)、シルト(Sil)である。さらに上位に土壌(暗褐色土S1、黒色土S2、及び表土・耕作土S3)がのる。SdとSilの境界は不明瞭である。これらを一覧表に示す(注:年代測定結果の詳細は表2−3−5参照、以下同じ)。

礫層G2の礫種、粒径はG1とほぼ同様であるが、基質が淘汰の悪い黄褐色のシルト質砂であるのに対し、G1の基質がマサ状で淘汰の良い花崗質砂を含む点で異なる。

土壌S1〜S3には広域テフラAT,Ahの混入が認められたが、Silには検出されなかった。これは、SilがAT以前の堆積物であることを示唆するものである。したがって、Silの年代はAT以前、G1以降で、2.2〜5万年前となる。

なお、トレンチのG1、Sd、Silから採取した木片の年代はすべて現世のものであった。このことから、地表付近に繁茂していた樹木の根が地表から3m余り侵入していたと解釈される。一方、黒色土S2(土壌)の年代は約4500年前であった。

表2−3−2 トレンチTM1の層序