2−2−2 ボーリング調査−椋本M1地区

調査位置を図2−2−1に、断面を図2−2−5に示す。本地区では、当初のボーリング調査仕様(BM1−1,BM1−2)に加えてBM1−3,BM1−4の2本のボーリングを追加し、椋本断層(主断層)近傍のみならず、丘陵地及び平野部まで含めた断層変位の検討を行った。その結果、岩盤深度はBM1−3で4.55m、BM1−4で11.43mと、断層の下盤側(平野側)で深く、段丘礫層も厚いことがわかった。

この地域は地形調査から中位段丘礫層M2の堆積面と考えられている。地形面の変位量は、ボーリングBM1−3とBM1−4の比高7.7m(圃場整備の改変を考慮すれば約8m)から扇状地の傾斜を考慮すると鉛直落差は6.5mである。基盤の東海層群(段丘礫層基底面)の比高は14.6mで、鉛直落差は13.4mである。なお、BM1−1、BM1−2、BM1−4の段丘礫層の上位には粘土質シルト層がのっている(BM1−3ではごく薄い)。この地層境界(段丘礫層上面)を基準にすればボーリングBM1−3,BM1−4間の比高は8.8m、鉛直落差は7.6mとなる。このように、段丘礫層の上面と基底面でで落差が異なる(層厚に差がある)のは、段丘礫層の堆積途中または堆積後に断層変位があった可能性を示唆するものと考えられる。

*(注)ボーリング孔間が離れている場合は、比高=落差ではなく、扇状地の勾配を考慮して低減しなければならない。椋本地区の扇状地の平均勾配は約9/1,000(地形断面測量のE、F、G断面から読みとった)、ボーリング孔BM1−3とBM1−4の距離は133.5mであるから、低減量は1.2mとなる。ただし、ボーリング孔間がごく近い場合や扇状地の勾配が明確でない場合はこのような低減は行っていない。

図2−2−1 椋本M1、M2、M3地区ボーリング位置図(1:5,000)

図2−2−5 椋本地区M1ボーリング断面図(1:200)