2−1−3 地形面対比の検討

段丘面及び沖積面の地形面の形成年代は、地形面に残された断層変位の活動時期を推定し、平均変位速度を推定する上で重要な要素である。しかし、平成9年度の地質概査や今年度の地質精査及びトレンチ調査においても、段丘面構成層の年代は得られていない。これは、トレンチの主な調査対象が中位段丘面M2で、段丘礫層から年代試料が得られなかったことに起因する。また、仮に木片等が採取されても、年代値が50,000 yBPを越えるようなら、14C年代の測定対象外になる。

布引山地東縁断層帯では平成9年度調査で、太田・寒川(1984)、及び鈴鹿東縁断層帯の調査と同様に、空中写真判読と地表踏査によって段丘面を区分し、既存調査と対比している。その対比表を表2−1−2に示す。

段丘面の形成年代については、太田・寒川(1984)が、段丘面の開析度、段丘堆積物の風化度や沖積面との関係から推定しており、既存の「鈴鹿東縁断層帯に関する調査」(三重県、平成7年度)では、それを新たに得られた14C年代値から一部修正して用いている。

本報告では、その後、直接的に段丘面構成層の新たな年代データが得られていないため、基本的に鈴鹿東縁断層帯の調査結果を踏襲するが、地形面対比表によって一部調整した。よって、ここでは調査地の主な地形面の年代を、段丘面H1が約15万年前、H2が約12万年前、M1が約8万年前、M2が約5万年前と推定した。

表2−1−2 地形面対比表