3−2−3 反射法探査による大規模撓曲構造

反射法探査のうち、椋本地区(芸濃町)と片田地区(津市)で、西上がりの逆断層のみならず、幅の広い撓曲構造がとらえられた。布引山地東縁断層帯はほぼ東西方向の圧縮応力のもとに形成された断層帯で、花崗岩等基盤岩類、または中新統(鈴鹿層群・一志層群)と東海層群の境界部では断層が形成されるのみならず、付近の地層は大きく変形し、すなわち撓曲・褶曲が起こるものと考えられる。こうした変形構造は椋本地区、片田地区に限らず、北部でも生じていることが考えられる。

なお、吉田ほか(1995)では津市片田新町から南方の久居市に至る一帯を久居撓曲と呼び、風早池断層をその東縁にしている。久居撓曲の北方延長に当たる片田地区の反射法探査では地下深部まで撓曲構造が認められることから、久居撓曲はさらに北へ延びて、長谷山東麓の境界断層と、付近の東海層群の逆転構造につながるものと考えられる。また、片田地区の反射法測線の東端の伏在断層は久居撓曲の東縁、すなわち風早池断層につながると推察される。

今回の調査からは、風早池断層の詳細や庄田断層の活動時期については不明であるが、地質構造上、一志断層は風早池方面へつながっているように見える。