(2)椋本地区(P−2、S−1測線)

椋本地区の図を以下のようにまとめた。

・ 図2−3−4−1 P−2及びS−1測線(椋本地区)測線位置図

・ 図2−3−4−2 P−2測線(椋本地区)解釈断面図(1:5,000)−通常処理

・ 図2−3−4−3 P−2測線(椋本地区)解釈断面図(1:5,000)

 … 重合前 Low−Cut 60−80Hz

・ 図2−3−4−4 S−1測線(椋本地区)解釈断面図(1:1,250)−通常処理

・ 図2−3−4−5 P−2測線(椋本地区)マイグレーション深度断面図(1:5,000)

(参考図)−重合後 Low−Cut 30−50Hz

図2−3−4−2によると、表層部は連続性の悪い不規則な反射面で、やや厚い段丘礫層と風化層と思われる。このうち、段丘礫層は10m程度と思われる。深部は東海層群相当の地層と思われ、連続する平行な反射面が何層も見える。しかも、西側が東に急傾斜し、東側は水平となる。全体として、大きな撓曲構造といえる。距離200m付近より西傾斜の断層が推定される。落差については、基準となる地層が特定できないため明確ではない。東側の深部の層厚が大きいように見えるが、解析上の見掛けの構造で、断層変位の累積性を示すものではない。地層は東海層群の砂岩・泥岩互層と見られるが、西側の深部は地表の地質分布から東海層群のうち礫岩相の西行谷累層と見られる。

図2−3−4−3は重合前Low−Cut (60−80Hz)の再解析断面である。全体の傾向は図2−3−4−2と相似だが、反射面の間隔が狭まり、解像度がやや上がったように見える。特に、浅層部分改善が著しく、反射面の連続性がよくなっている。距離0〜200mの標高0m付近の図2−3−4−1になかった反射面が明瞭になった。しかし、表層部分の反射面はやはり改善されていない。図2−3−4−1及び図2−3−4−3で距離350m付近、650m付近に東傾斜の断層が推定される。これらは地形的には明瞭ながら、反射法では明瞭とは言い難い。この断層は互層の層面すべりの可能性がある。

S波探査の断面(図2−3−4−4)では東海層群相当部分はP波探査(図2−3−4−2図2−3−4−3)とほぼ同じ傾向の東傾斜の構造が読みとれる。表層部は距離90〜180mにクサビ状の窪みが認められる。また、距離120、160、200mの位置に東に傾斜する断層が推定され、これらは層面すべりと見られる。距離120mの断層はP波探査の断層位置に相当し、地形判読による断層位置ともほぼ整合する。このS波探査の距離90〜180mのクサビ状の窪みが何であるかは不明で、ボーリング等での調査が必要である。

なお、図2−3−4−5は重合後 Low−Cut(30−50Hz)の処理を行った参考断面で、低周波の強い反射面がなくなり、全体の構造は他と相似だが、コントラストに欠け、反射面の連続性も悪い。