(2)古地震資料調査の概要

(1) 遺跡発掘資料

大きな地震の際には地割れや液状化が発生することがある。遺跡の発掘によってそのような地震痕跡が発見されることがあり、古地震解明の手がかりとなる。

本調査では三重県教育委員会埋蔵文化財発掘センターの資料等を入手した(中勢道路関連の発掘調査)。資料は次の2種である。

@ 蔵田(ぞうた)遺跡(津市納所町字蔵田)

噴砂の砂脈が2方向に見られ、縄文時代晩期頃に液状化が発生したとされている。

A 位田(いんでん)遺跡(津市北河路町字位田)

古墳時代以降に液状化が発生したとされている。

<参考資料>

・ 三重県埋蔵文化財センター(1995):一般国道23号 中勢道路 −埋蔵文化財発掘調査概報Z

・ 三重県埋蔵文化財センター(1997):一般国道23号 中勢道路 −埋蔵文化財発掘調査概報\

・ 埋文関係救援連絡会議・埋蔵文化財研究会(1996):「発掘された地震痕跡」、p437−447,p813

(2) 古文書等

伊勢神宮文庫へ赴き古文書を調べたが、新たな知見は得られなかった。

また、宇佐美(1997;CD−ROM版)及び、武者(1995)などの文献で検索した。これによると、中世の鈴鹿〜伊勢地域の地震災害の記録は少ないことがわかった。

また、震災予防調査会(1904)には、宇佐美(1997)に収録されていない伊勢地域の震災の記録がある。同資料(抜粋)には、

・ 應永7年10月24日(西暦1400年)−伊勢國地強ク震ウ…

・ 永享5年1月24日(西暦1433年)−伊勢、近江二國、地大ニ震ウ、是日京都モ震ヘリ…

と記載されている。これらは被害についての記録がなく、地震規模や地震の全体像は不明である。

今回の調査では、調査地の布引山地東縁地域の活断層に起因したと見られる歴史地震は見出せなかった。