(3)分析試料の採取と分析結果

分析試料は、地層の形成年代、地層の堆積環境、断層の活動時期の特定等を明らかにするために、以下に挙げる分析試料を採取することに努めた。

・炭素同位体年代測定試料:木片、炭化物、腐植土等

・花粉、珪藻分析試料  :腐植土混じり粘土、シルト等

・テフラ分析試料    :主として火山ガラス。ただし、採取試料としては地層を構成するもの(砂礫、砂等)も同時に採取する。

・珪藻・有孔虫分析用試料:粘土、シルト等

しかしながら、地表地質踏査を実施した結果、

@ 面の年代を推定する必要のある面(特に沖積面、低位段丘面、中位段丘面)の露出(露頭)がきわめて少ない。

A 本調査地域では、年代決定を行う上で重要な火山灰(テフラ)が、ほとんど認められなかった。AT(姶良火山灰)の分布の可能性があるが、試験的に火山ガラスの抽出を試みたが、同定できるような試料は採取されなかった。

B 段丘面を構成する地質は、砂礫がほとんどで、花粉分析や珪藻分析等に使用できるシルトや粘土層がほとんど認められなかった。

C 炭素同位体年代測定試料採取においても、露出壁面に茂る現世の植物根が多くその分別が困難であった。

等の問題点があり、地表踏査からは、分析試料の採取はできなかった。