1−3−1 既存資料調査結果

既存資料調査は、主に活断層の実態や研究史、古地震資料及び断層や地下地質情報を入手し、地形・地質調査、ボーリング調査及びトレンチ調査の基礎資料とすることを目的に行った。

具体的には、地形・地質及び断層等に関する既存文献調査、鈴鹿東縁断層帯や周辺地域の遺跡文献及び古文書調査、既存ボーリング資料調査の諸調査を実施した。

(1) 既存文献調査結果

鈴鹿東縁断層帯及びその周辺の地形・地質や県内の他の断層系に関して収集した文献は、@鈴鹿東縁断層帯に関するもの、A鈴鹿東縁断層帯以外の活断層に関するもの、B第四紀地質及び地形に関するもの、C地質一般に関するものの計94文献であり、それぞれの文献は要旨をまとめ抄録とした。

三重県内の活断層は、「新編日本の活断層」によれば、約70の断層が分布しており、松田(1990)による地震規模の大きい起震断層で比較的連続するものは、11断層(帯)である。

このうち、活動度の高い活断層は、桑名断層群、鈴鹿東麓断層帯及び布引山地東縁断層帯である。活動性からいえば、各断層帯(群)とも同じように活動的であるが、その中でも鈴鹿東縁断層帯は最大限に考えた場合の断層長が最も長い。

(2) 遺跡文献及び古文書調査結果

遺跡文献及び古文書調査では、活断層や断層活動の痕跡を記載した文献はなく、また段丘面の時代を決定する記載は認められなかった。

調査地域周辺における地震活動については、古文書関係の資料収集及び聞き取り調査を調査地域内の歴史の古い寺社を中心に実施した。調査数は、周辺市町の39寺、1神社であったが、古い地震についての記録はほとんど焼失しており、新たな知見を得ることはできなかった。

(3) 既存ボーリング資料調査結果

収集したボーリング本数の合計は調査地域内で計445本であった。

収集したボーリング資料は、大部分が段丘面上において建物の基礎地盤の調査を目的とした掘削深度20m以内のものであり、断層等の記載を含めて参考となるような資料は少なかった