2−3 周辺の地震活動

この地域は,北海道の内陸地域としては地震活動が比較的活発な地域とされており(島村・森谷,1993),本断層帯周辺の浅部でも微小地震が発生している(本谷,1994).

最近では,1986年11月13日の沼田町南西部を震央とするM5.3の浅発地震(札幌管区気象台ほか,1987)や,1995年5月23日の新十津川町西部山地の深さ14kmを震源とするM5.7の地震(田近・広田,1995;札幌管区気象台・岩見沢測候所,1996)が発生している.

前者は,方位角72°Nおよび342°Nの節面をもつストライクスリップ型の地震(P軸は297°N)であり,余震の震源分布から72°N面が右横ずれ断層面と考えられている(鈴木ほか,1987)が,この面は断層の走向とほぼ直交する.

後者は,北海道西部の広い範囲で有感となり,軽傷4名,住家の一部破損46棟,墓石変動,道路の亀裂・崩壊,橋梁や用水路の破壊,盛土の亀裂などの被害が発生した(田近・広田,1995).この地震は,高波ほか(1996),札幌管区気象台・岩見沢測候所(1996),および大村ほか(1997)によれば,ほぼ東−西方向のP軸をもつ逆断層型の地震である.長周期 CMTインバージョン解から求められた節面のうち,ほぼ南北の走向で23°西傾斜の節面(高波ほか,1996)が断層面であるとすれば,この面の地表との交線の方向は本断層帯の走向とほぼ一致し,西側隆起という性格とも矛盾しない.北−南ないし北北西−南南東の方向に細長く並ぶ余震分布は,増毛山地北東部の褶曲構造の一般的走向とほぼ整合的である.これらのことから,この地震は,本断層帯の地下深部(10数km)で,西側が東側へのし上る西傾斜の逆断層運動によって発生した可能性がある.