(7)結論

(7−1)活断層の有無,位置,断層の連続性

@和断層

北竜町和の北方の撓曲崖(確実度U)と和南方の段丘面の撓曲崖が確認された(確実度T).断層はその間の沖積低地面を変形させていない.沖積低地面下に伏在すると仮定すると延長は6.5km以上である.

A樺戸断層群セグメントa

雨竜町洲本および新十津川町大和から総富地川下流の段丘面までの間に確実度T〜Uの撓曲崖が確認された.これらがすべて連続するとすれば総延長は19.5kmである.

B樺戸断層群セグメントb

存在の可能性は小さい.

C樺戸断層群セグメントc

浦臼町於札内より月形町札比内にかけての段丘面に,確実度T〜Uの撓曲崖が延長12kmにわたって分布する.沖積低地面を除く各河成段丘面に変位を与えている.

D樺戸断層群セグメントd

月形町北農場から五耕地山にかけては,確実度U〜Tの撓曲崖が延長5.5kmにわた存在している.

(7−2)断層の活動度

断面測量の結果,最も活動速度が大きいとみられるのは樺戸断層群セグメントaであり,0.5m/千年である.小さいのはセグメントcで,0.09m/千年である.参考までに,平均変位速度Sと断層延長Lから活動間隔Rを求める(垣見,1995)と,セグメントaで約3,200年,セグメントcで約11,000年(dも同時に活動したとすると18,000年)程度である.和断層は概ね0.2〜0.5m/千年程度の変位速度が見積られるが,セグメントdの変位量は不明である.

沖積低地面に変位が見られるところはないことから,最近の活動は少ないと判断できる.確実度Tで,完新世面(Ho)に変位が見られるのはセグメントc(浦臼町札的内)のみであり,数千年以降〜数百年以前の間の活動が推定される.低位面Lg−3に変形を与えているのはセグメントc(浦臼町於札内),セグメントa(雨竜町新生および新十津川町大和)のみである.従って,この部分では1万年程度以降〜数千年前までの間に最後の活動があったと推定される.

(7−3)物理探査測線・トレンチ調査候補地域の選定

最新活動時期の認定のためには最も新しい地形面でのトレンチ調査が必要である.しかし,この地域の変位地形はほとんどが撓曲崖であり,変位のない地形面での掘削はリスクが大きい.従って,新しい地形面で明瞭なリニアメントが見られる,雨竜町豊里〜新生,新十津川町大和,および浦臼町地域を選定し物理探査を実施することとした.