(1)概要

A.原理

珪藻は褐色植物に属する微小な単細胞藻類で,珪酸質の殻をもつ.沿岸や湖沼域では,春と秋に繁殖期があるものが多い.珪酸質殻は風化され難く,化石として残りやすい.殻の表面には複雑で微細な構造が見られる.種としては1万種以上が記載されている.海水〜汽水〜淡水域の広範囲に生息する.化石は白亜紀以降に見られ,新生代で生息域を拡大した.重要な示準化石であり,古環境も示す.

B.分析実施機関

コアから採取した試料の珪藻分析をパリノ・サーヴェイ株式会社に委託した.

C.分析方法

試料約10gについて,過酸化水素水と塩酸により泥化と有機物の分解・漂白を行う.分散剤を加えた後,蒸留水を満たし放置する.その後,上澄み液中に浮遊した粘土分を除去したうえで,珪藻殻の濃縮を行う.この操作を4〜5回繰り返す.次に,L字形管分離で砂質分の除去を行い,検鏡し易い濃度に希釈し,カバ−ガラス上に滴下して乾燥させる.乾燥した試料上に封入剤のプリュウラックスを滴下し,スライドガラスに貼り付け永久プレパラ−トを作製する.

検鏡は,油浸600倍または1000倍で行い,メカニカルステ−ジを用い任意に出現する珪藻化石が200個体以上になるまで同定・計数した.なお珪藻殻が半分以上破損したものについては同定・計数は行っていない.珪藻の同定と種の生態性については,Hustedt(1930−1966),Krammer & Lange−Bertalot(1986〜1991),Desikachiary(1987) などを参考にした.

文献

(1)加藤碩一・脇田浩二(2001):地質学ハンドブック.朝倉書店,696.

(2)第四紀学会編(1993):第四紀試料分析法.東京大学出版会,556.