(6)調査結果

A.反射断面

断面の位置図を図3−2−1−12図3−2−1−13に示すとともに,測線毎に,重合処理断面図,マイグレ−ション処理断面図,深度変換断面図および解釈断面図の順でまとめ,図3−2−1−14図3−2−1−15図3−2−1−16図3−2−1−17図3−2−1−18図3−2−1−19図3−2−1−20図3−2−1−21図3−2−1−22に示す.重合処理断面図はマイグレ−ション処理前の段階の断面図である.CDP(トレース)間隔は受振点間隔の1/2で,2.5m間隔である.各測線の深度断面と解釈断面の縦横比は1:1である.

B.地質解釈

各測線の反射パターンは3区分でき,それぞれ上位より次のような特徴を示す.

反射パターン@;明瞭に連続した反射面が繰り返し認められる領域.

        区間速度は概ね2000m/s以下

反射パターンA;反射面は認められるものの,反射パターン@に比べ反射面が不明瞭な領域.区間速度は概ね2000m/s以上

反射パターンB;反射パターンAと境する振幅の強い反射面があり,それより 深い部分では連続した反射面が認められない領域.

下位に優位な反射面が認められないため,区間速度不明.

上記反射パターンの特徴から,次のように地質解釈を行った.

反射パターン@;大阪層群上部層

反射パターンA;大阪層群下部層

反射パターンB;丹波帯中・古生層

解釈断面図では,上記反射パターンごとに色づけして区分している.

(a)八幡測線

@基盤岩(丹波帯中・古生層)上面の深度分布

測線の始点(CDP1)では,基盤岩上面相当の反射面は標高−400m程度に潜在し,南東方向へ起伏を伴いながら深くなり桂川付近(CDP600〜700)では,標高−700m程度に分布すると推定される.桂川より南東側では,基盤岩上面相当の反射面は,不明瞭ながら標高−800m〜−900mに分布すると推定される.

A大阪層群の構造

大阪層群上部は測線の始点(CDP1)では標高−100m程度まで分布するが,そこから南東に向かって急激に深くなりCDP100付近で標高−200m程度まで分布する.名神高速道路が交差するCDP150付近からは,南東に向かってやや深くなり,CDP650で標高−250m程度まで分布する.それより南東側では,大阪層群上部と下部を境する反射面が不明瞭になる.CDP850から測線終端までは反射面は,ほぼ水平かやや緩やかに南東傾斜している.

大阪層群下部は,CDP1〜650までは,250〜300m程度の層厚で分布する.CDP650より南東側は,大阪層群上部・下部の境界の反射面,基盤岩上面の反射面とも不明瞭であることから,層厚は不明である.上部に比べて反射面の連続性は良くないが,ほぼ上部と調和的な堆積構造が認められる.

B断層・撓曲

本測線で,CDP1〜CDP100区間およびCDP750〜850の2区間で大阪層群中に撓曲が認められた.前者の基盤岩上面は,南東に向かって急傾斜している.淀測線で認められた撓曲に似ている.後者の撓曲は,堀川〜油小路〜巨椋池測線(1)と淀測線の撓曲を結ぶ線上に位置することから,宇治川断層と判断した.

(b)桃山南測線の調査結果

@基盤岩(丹波帯中・古生層)上面の深度分布

基盤岩上面相当の反射面はCDP1〜150の標高−50〜−200m付近に不明瞭ながら認められたが,他では判らない.

A大阪層群の構造

CDP1からCDP150付近まで,大阪層群上部は不明瞭ながら,標高0〜−100m以浅で,南に傾いて分布する.JR奈良線から京阪宇治線までの区間で,急斜帯に変わる.さらに,南側の測線終端まで標高−260m以浅に明瞭な反射面として,ほぼ水平に分布する.大阪層群下部は,不鮮明な反射面で,層厚は不明である.

B断層・撓曲

本測線ではCDP150〜250の大阪層群上部中に変形帯が認められた.宇治川断層の西方からの延長上に当たり,宇治川断層に該当すると考えられる.

(c)小栗栖−石田測線

@基盤岩(丹波帯中・古生層)の深度分布

基盤岩上面相当の反射面は,山科川付近より測線南東端まで標高−450〜−550mに認められた.反射面は南東側に向かって10°程度の傾きで浅くなっていく.一方,山科川より北西側では,基盤岩上面相当の反射面は不明である.

A大阪層群の構造

大阪層群上部は,CDP100〜350区間で標高−400m程度まで,ほぼ水平に分布しているが,CDP350より南東側では地層が南東側に向かって浅くなる.この区間,非常に明瞭な反射面が認められる.一方,CDP1〜100では,反射面が不明瞭であり,標高−100m程度以浅までの反射面しか得られていない.その反射面は,10゚程度で南東に傾く.大阪層群下部は,山科川より南東側では,100〜200mの層厚で分布するが,山科川から測線北西端までは,基盤岩上面の反射面が得られてないことから,層厚は不明である.

B断層・撓曲

桃山丘陵の南西縁部に当たるCDP1〜100の区間では,大阪層群,基盤岩上面の反射面共に不明瞭である.最上部の反射面は僅かに南東に傾くようにも見えるが,良く分からない.この区間を含め,山科川までの区間に宇治川断層の延長が想定される.CDP1〜100区間の記録が悪く,ここでの宇治川断層の存在は不明である.そこから山科川までの区間に宇治川断層を示唆する構造は認められない.CDP1〜100付近の不明瞭な表層の南東傾斜は,宇治川断層か,大阪層群の構造を反映したものか,あるいは丘陵中に分布するとされている小栗栖断層(岡田他,2000)(3)に関連するものか判らない.

CDP350より南東側に,大阪層群中の撓曲(地層の急斜)が認められた.木幡断層の北側延長部に位置し,相対的に西落ちのセンスから木幡断層に対応する可能性がある.

表3−2−1−1 測定各測線での届け先一覧

表3−2−1−2 測定仕様一覧

表3−2−1−3 P波反射法探査使用機器一覧

表3−2−1−4 主要パラメター

図3−2−1−1 反射法測線位置

図3−2−1−2 P波反射法データ処理フロチャート

図3−2−1−3 リファレンスラインの設定(八幡測線)

図3−2−1−4 リファレンスラインの設定(桃山南測線)

図3−2−1−5 リファレンスラインの設定(小栗栖?石田測線)

図3−2−1−6 静補正前後の反射断面の比較(八幡測線)

図3−2−1−7 静補正前後の反射断面の比較(桃山南測線)

図3−2−1−8 静補正前後の反射断面の比較(小栗栖?石田測線)

図3−2−1−9 デコンボリューショテストの例(八幡測線)

図3−2−1−10 デコンボリューショテストの例(桃山南測線)

図3−2−1−11 デコンボリューショテストの例(小栗栖?石田測線)

図3−2−1−12 P波重合断面位置1

図3−2−1−13 P波重合断面位置2

図3−2−1−14 八幡測線 重合時間断面

図3−2−1−15 八幡測線 マイグレーション時間断面

図3−2−1−16 八幡測線 深度断面

図3−2−1−17 八幡測線 解釈断面

図3−2−1−18 桃山南測線 重合時間断面

図3−2−1−19 桃山南測線 マイグレーション時間断面

図3−2−1−20 桃山南測線 深度断面

図3−2−1−21 桃山南測線 解釈断面

図3−2−1−22 小栗栖−石田測線重合時間断面

図3−2−1−23 小栗栖−石田測線 マイグレーション断面

図3−2−1−24−1 小栗栖−石田測線 深度断面

図3−2−1−24−2 小栗栖−石田測線 解釈断面