(3)小栗栖−石田測線

(a)基盤岩(丹波帯中・古生層)上面の標高分布

基盤岩上面相当の反射面は,山科川付近より南東側のCDP370から測線南東端まで標高−450〜−550mに認められた.反射面は南東側に向かって10°程度で傾きで浅くなっていく.一方,山科川より北西側で,基盤岩上面相当の反射面は不明である.

(b)大阪層群の構造

大阪層群上部はCDP100〜350区間で標高−400m程度まで,ほぼ水平に分布しているが,CDP350より南東側では地層が南東側に向かって浅くなる.この区間,非常に明瞭な反射面が認められる.一方,CDP1〜100では,反射面が不明瞭であり,標高−100m程度以浅までの反射面しか得られていない.その反射面は,10°程度で南東に傾く.

大阪層群下部は山科川より南東側では,大阪層群上部〜基盤岩上面まで100〜200mの層厚で分布するが,山科川から測線北西端までは,基盤岩上面の反射面が得られてないことから,層厚は不明である.

(c)断層・撓曲

桃山丘陵の南西縁部CDP1~100までの区間,大阪層群,基盤岩上面の反射面共に不明瞭である.最上部の反射面は僅かに南東に傾くようにも見えるが,良く分からない.この区間を含め,山科川までの区間に宇治川断層の延長が想定される.CDP1~100区間の記録が悪く,ここでの宇治川断層の存在は不明である,そこから山科川までの区間に宇治川断層を示唆する構造は認められない.CDP1~100付近の不明瞭な表層の南東傾斜は,宇治川断層か,大阪層群の構造を反映したものか,あるいは丘陵中に分布するとされている小栗栖断層(岡田他,2000)(17)に関連するものか判らない.

CDP350より南東側に,大阪層群中の撓曲(地層の急斜)が認められた.木幡断層(17)の北側延長部に位置し,相対的に西落ちのセンスから判断し,木幡断層に対応する可能性がある.

文献

(17)岡田篤正・東郷正美(2000):近畿の活断層.東京大学出版会,395.