1−2−2 調査項目選択の経緯とその概要

平成10年度京都市は京都盆地を南北方向に延びる堀川?巨椋(オグラ)池測線でP波探査をおこなった.同反射断面の宇治川付近に基盤岩(丹波帯中・古生層)や基盤を覆う地層に変位・変形を与えている伏在活断層が,検出された.断層両側の基盤岩上面を基準にすると南側が約150m沈降し,上部の地層(大阪層群)を幅約200mに亘り,撓曲*(変形)させていると解釈された(8).さらに,下位の地層で変位量が大きく,上位ほど変位量が小さくなる変位の累積性が示唆された(図1−1図1−2).

[注 撓曲*:厚く重なった地層の一部が曲がる現象.普通隣接する地殻2つの部分が相対的に変位する場合,境界に沿って断層を生ぜず,連続性が持続されてS字状の横断面の1種の褶曲を形成することがある.これを撓曲と呼ぶことがある(新版地学事典:1996) .ここでは,岩盤や地層が面を境に切れているものを断層,明瞭な面は認められないが,下位に断層があり,その上位の厚い地層が断層の影響で,地層が連続して,曲がっている変形状況を撓曲としている.従って,ここでは断層と撓曲を同一の成因による同じものとしている.]