(2)分析方法

湿重約10gの試料をビーカーに秤りとり、過酸化水素水と塩酸を加えて加熱しながら泥化および有機物の分解・漂白を行う。分散剤を加えた後、蒸留水を満たし放置する。その後、上澄み液中に浮遊した粘上分を除去する。この操作を4〜5回繰り返す。次に、L字形管分離で砂質分の除去を行い、検鏡し易い濃度に希釈したうえでカバーガラス上に滴下して乾燥させる。乾燥した試料上に封入剤のプリュウラックスを滴下し、スライドガラスに貼り付け永久プレパラートを作製する。

検鏡は、油浸600倍または1000倍で行い、メカニカルステージを用い任意に出現する珪藻化石が200個体を目安に同定・計数する。なお、珪藻穀が半分以上破損したものについては同定・計数は行っていない。珪藻の同定と種の生態性については、Hustedt(1930−1966)、Krammer&Lange−Bertalot(1986−1991)、Desikachiary(1987)などを参考にする。

同定の結果は、塩分濃度に対する適応性により、海水生、海水〜汽水生、汽水生、淡水生に生態分類し、さらにその中の淡水生種は、塩分、pH、水の流動性の3適応性についても生態分類し表に示す。また、珪藻は、一般には水域(水中)に生育するが、一部に好気的環境(直接大気に曝された環境)に生育種群が認められ、これらを陸生珪藻と呼んで区別している。本分折では、水生珪藻と陸生珪藻の区分を伊藤・堀内(1991)に従い、A群、B群およびその他の3つに区分している。

珪藻の各生態性(塩分・pH・流水)に対する適応性の詳細については、まとめて表5−3に示す。

表5−3 珪藻の各生態性(塩分・pH・流水)に対する適応性