(4)空中写真判読結果

北から南へと記載する。

判読地域,国道1号線までの範囲は,北から知恩院,八坂神社,高台寺,清水寺など寺社,仏閣が多くあり,人工的な崖も多い。しかし全てが人工の崖であると判断できないため,連続的なものは積極的にリニアメントとして判読した。

山麓には基盤岩(丹波帯中・古生層)と大阪層群の境界に明瞭なリニアメントが判読される。山麓手前には数本のリニアメントが判読された。大阪層群と扇状地面の境界もしくは扇状地面上の低崖,撓曲崖が判読された。しかし直線,連続性に乏しく確実度に高いリニアメントではない。

高台寺から南側には段丘が発達し,高位,中位段丘面が判読される。特に清水寺西側では,中位もしくは高位段丘面上に崖もしくは撓曲崖が判読され,最大で10m程度の落差がある。

京都女子大学から南泉涌寺付近まで,中位段丘面前縁に崖が見られる。また,JRの線路から南,低位段丘面前縁に撓曲崖が連続してみられ,東福寺付近では低位段丘面上に低崖,撓曲崖が観察され,伏見稲荷北側まで比較的連続的に観察された。

さらに,京都国立博物館付近から東福寺西側まで,不明瞭ながら連続的に撓曲崖が見られる。

伏見稲荷付近からは大阪層群と扇状地面の境界にリニアメントが判読される。また,大阪層群もしくはその上の中位,高位段丘面に傾動が見られる。

北からのリニアメントは深草周辺で消滅する。

深草以南,明瞭なリニアメントは判読されない。しかし,中位段丘面に明瞭な傾動が判読され,その西側にゆるやかに傾斜している低位段丘面が判読される。低位段丘の前縁に拡がる扇状地面上に撓曲崖を判読したが,不明瞭である。

丹波橋東方の中位段丘面上に比較的明瞭なリニアメントが判読できる。この付近は伏見桃山御陵をはじめとして陵墓が多く存在し人工的作られた崖の可能性も否定できない。

調査地域最南端宇治川の観月橋以南は沖積低地が広がっておりリニアメントは判読できない。