7−4−5 活断層の性状の解析に関する問題点

山科盆地の東西両縁を限る活断層は、総じて逆断層である。本調査では、盆地の内部に位置し、新期の活動が推定されている2つの活断層を対象に詳細な調査を実施した。

盆地内部の活断層は、短い区間において撓曲崖が湾曲しながら連なる様子から推察して、傾斜角度の緩い(45゚より緩い衝上性の)断層に該当するものが多いのではないかと考えられる。

そのため、空中写真では明瞭〜比較的明瞭なリニアメントと判読されても、活断層が地表に現れる位置は、本調査規模のトレンチ区間以上のずれを生じてしまうのであろう。本調査で行った2箇所のトレンチは、活断層から数mしか離れていない箇所であることが、ボーリング調査結果から分かった。このことは、活断層調査、特に逆断層を対象にする場合、ボーリング調査をより綿密に実施する必要性が明らかになった。

山科盆地に分布する逆断層群は、都市防災上、その位置や性状などを明らかにしていかなければいけないものであることは明らかである。一方で、都市部では、人工改変が激しく、京都市では歴史時代以降、永年にわたって人工改変を伴ってきた所であり、空中写真だけでは判読しがたい直線的な地形がつくられ、活断層の正確な位置を捉えることが難しい。また、トレンチ箇所となる用地に制約が多いのも現実である。