(3)断層・変形構造

測点1100m付近の深部には反射面のたわみが見られるが、浅部には反射面の振幅低下が見られる。この現象は、地表付近に確認された活構造(背斜軸)と、山科川に厚く堆積した河床礫の分布が影響したものと推定した。

次に、測点800mより西側区間には幅広い断層変形帯が推察された。

(a) 基盤岩上面には大阪層群堆積以前の地殻変動の痕跡が認められる。測点700mから図面右側で、標高TP−300〜−200mの反射面が基盤上面の高まりに向かって消滅し、大阪層群が基盤岩にアバットしている様子が現われた。

(b)大阪層群の反射面には褶曲構造が認められる。

測点400〜700mには背斜構造が見られる。測点680m付近に見られる段丘面上の背斜軸をつくった地質的要因の可能性が強い。測点450m付近を境にして西側で反射面の間隔が広いのは、東上がり西下がりの断層変位が累積して、西側の堆積速度が増大したためと推定される。

(c)大阪層群中の反射面が途絶えた部分および振幅が減少している部分には、断層の可能性がある。測点450〜500mでは、大阪層群上部の反射面を分断する断層の可能性がある。測点200m付近より西側では、@基盤岩を切る明瞭なずれが認められないこと、A基盤岩上面が約30゚東傾斜すること、B大阪層群には明瞭な反射面が認められないことから、測線区間では、基盤岩を切る断層は通らないこと、測点200m付近より西側は大阪層群中の撓曲帯と推定することができる。あるいは、測線起点の西方から地表の測点160mに衝上する断層の可能性がある。測点200mは勧修寺断層のリニアメントが通る付近である。上記は、勧修寺断層の活動に伴う変形帯を裏付けるデータと考えられる。